自公政権発足直後の参議院本会議で代表質問

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平成25(2013)年2月6日に、参議院本会議で財政演説について、安倍総理、麻生財務大臣、小野寺防衛大臣に対して代表質問をしました。

ずいぶん以前のことですが、私の金融緩和に対するスタンスは、質問でも申しましたが、「金融緩和をしてデフレ脱却を目指すアベノミクスの全体方針は正しいと私も思います。あとは、その実現のための手法と、その成果をいかに国民全体に回していくのかが大きな問題です。」というものです。

金融緩和と消費増税を経た最近の景気動向の論点について、当時一通り指摘いたしましたので、ご覧ください。なお、冒頭では中国海軍による護衛艦へのレーダー照射事件を取り上げてあります。


民主党の金子洋一でございます。会派を代表して、財政演説に関して御質問を申し上げます。

冒頭、昨日明らかになりました中国海軍の艦船による我が国護衛艦への射撃管制用レーダー照射の問題について伺います。

政府として厳重に抗議したということでございますけれども、中国のこれまでの行動について、小野寺防衛大臣に御報告お願いをいたします。また、我が国の安全を大いに脅かす重大な出来事にもかかわらず、一月十九日の事案及び一月三十日の事案について政府の発表がここまで遅れたことについて、なぜなのか、防衛大臣、お答えをいただきたいと思います。

中国のこのような行為について、我が国を代表する総理の見解と今後の政府の対応について、安倍総理、お答えください。自公両党のこれまでの動きが中華人民共和国政府に対して誤ったシグナルを送ったのではないでしょうか。

さて、いわゆるアベノミクスについて取り上げます。

改正日銀法が施行されました一九九八年から続く我が国経済のデフレ、ここからの脱却や経済再生の重要性から、日銀と密接に連携した強力な金融緩和と大型補正予算の必要性については政府と認識を共有いたします。特に、円高が長期にわたって続いていた原因は、デフレとの戦いが十分でないことにあります。この意味では、日銀法に明言されているように、政府と日本銀行が政策の十分な調整をすることが不可欠であります。

特に、デフレ脱却にインフレ目標政策などの大胆な金融緩和をもって取り組むことに心から賛成をいたします。私は、初めて国政選挙に挑戦をいたしました平成十五年から、このようなインフレ目標導入などのリフレ政策の実施を訴えてまいりました。そして、初当選の直後から、民主党内でデフレ脱却議員連盟という金融政策にスポットライトを当てた議員連盟を同僚議員とともに立ち上げ、日本銀行による金融政策の大幅な強化の必要性を訴えてまいりました。たとえ党派が違ったとしても、その採用には心から敬意を払いたいと考えております。

さて、今日現在、日経平均は約一万一千円程度、一ドルは九十二円程度。解散・総選挙が現実味を帯びるにつれて円安が進み、米国株式は横ばいの状況であるにもかかわらず、我が国では株高となりました。十一月中旬の日経平均八千六百円台、一ドル七十九円台から大幅に改善をされました。そして、三か月近くにわたって円安傾向が続いております。

また、中華人民共和国など一部の国から我が国が円安誘導をしているとの批判が出ているようですが、デフレ脱却の目的のために金融政策を変えようとしたことによるものであり、為替市場への介入があったわけではありません。海外からの非難は、我が国の製品と競合する自国産品の輸出が伸びなくなるという極めて身勝手な理由によるものです。どうか、総理におかれましては、そういったためにする批判には耳を貸さず、我が国の国益を考えて邁進していただきたいと思います。
以上のように、アベノミクスの大胆な金融政策の基本的な方向性については賛同いたします。しかし、それ以外、特に今回の補正予算に見られるような政府の財政支出の在り方を見ますと、このままでよいのかという懸念を感じざるを得ません。

一例を挙げれば、今回の緊急経済対策を決定した一月十一日の閣議で、安倍総理は、デフレ、円高からの脱却には政府、日銀の連携による大胆な金融政策が不可欠と改めて強調されました。それはよいと思います。その上で、財政出動の狙いについて、日銀が供給したお金を使うには、政府が率先して需要をつくり、景気の底割れを防がなければならないと発言されたのです。

こうした財政政策に関する考え方は、失礼ながら旧態依然としたオールドケインジアンのものであります。変動為替相場制の下にある我が国では、単に財政支出をしても、政府が率先して需要をつくっても、大幅な金融緩和がなければ、円高が生じ結果的に政府支出がつくり出した需要は大部分が海外に流出してしまいます。マンデル・フレミング効果と申しますが、これが近年の公共事業の乗数低下の大きな原因であると言われております。

公共事業の乗数低下にもう一つの原因があるとするならば、我が国の建設土木業界の事業処理量が限られていて、景気対策により大量の公共事業が発注されると、その分だけ民間の工事の消化がストップしてしまうことが考えられます。言わば、ボトルネックが生じてしまうのです。

具体的にお尋ねをいたします。

被災地である福島県内の昨年十二月の有効求人倍率が一・一八倍と、統計を取り始めて初めて全国一位になりました。これ自体は大変喜ばしいことであります。しかし、復興需要の増加で、建設関係、これが三・七七倍、工事現場の警備員など保安関係、これは六・五六倍など、そういった求人が増えたためであり、特定の職種に偏りがございます。一方で、求職者数が多い事務関係、これは〇・三五倍です。製造関係、〇・六一倍です。こうしたものは現地での仕事自体が少ないことから低く、また、正社員の求人倍率も〇・七二倍となっております。

こうしたことを考え合わせれば、経済対策で公共事業を増やした方がいいのか、それとも公共事業以外の事務や製造関係の仕事が増えた方がいいのか、被災地福島の復興を第一に考えれば、これは望ましいのは公共事業以外ではないでしょうか。経済対策は公共事業以外に力点を置くべきだと考えますが、この点について総理にまずお尋ねをいたします。

こうした公共事業を始めとする財政政策重視は、過去の自公政権でも顕著であります。これから、麻生財務大臣が総理でいらした二〇〇八年に起きたリーマン・ショックへの対応を取り上げます。

当時の経済財政担当大臣は、リーマン・ブラザーズの破綻について、日本経済にも蜂が刺した程度の影響はあるが、日本の金融機関が傷むことは絶対にないとしました。また、あらゆる専門家の意見を聞いたが、一年で元に戻るというのが共通意見だったと述べました。しかし、問題となったのは、金融機関の健全性などではなく、急激な円高を通じた我が国経済への悪影響だったことは誰の目にも明らかです。

政府と日銀の政策的な協調を定めた日銀法第四条があるにもかかわらず、日銀は、景気刺激を目指した買いオペなどを行うこともなく、ほとんどそのバランスシートを拡大させず、ベースマネーの供給を増やそうとしませんでした。諸外国では、リーマン・ショックへの対応のため、二〇〇八年九月からその年末までに、米国では約二・五倍、英国では約三倍に中央銀行がバランスシートを拡大させ、その後も通貨供給量を増やし続けたのにもかかわらずです。

その結果、当時一ドル百十円近かった円レートが、年末には九十円台を大きく割り込む急激な円高ドル安を招きました。当時の政権は、他の先進国で行われた大胆な金融緩和ではなく、経済対策による財政支出で対応しようとしましたが、もちろんこれは有効ではありませんでした。輸出は激減し、リーマン・ショックの震源地である米国での鉱工業の生産は約一五%しか減少しなかったのにもかかわらず、我が国の生産はその倍以上の三〇%以上下落をしたわけであります。

その後、製造業で働いていた非正規労働者に対する派遣切りが横行し、生活保護者が急増いたしました。これは、働くことのできる若い失業者が生活保護に大量に流入したことが原因です。現在、与党は生活保護費を削減しようとなさっているようですが、私はそれに反対です。今日の生活保護問題の一端はここに端を発しております。麻生財務大臣、当時の総理としてその反省はおありでしょうか。

このように、大胆な金融緩和を行わずに単に財政支出を増やしても景気は良くなりません。自民党政権では、バブル崩壊以降、事業規模で約二百兆円の公共事業を行ってきましたが、経済再生もデフレ脱却も実現できませんでした。その経験が生かされておりません。金融政策が主であって、財政政策は従でなければなりません。景気浮揚効果がない支出は慎むべきです。この点について総理の答弁を求めます。

さらに、大胆な金融緩和を保障する政府と日銀の連携についてお尋ねいたします。

私ども民主党政権の下で、昨年二月十四日、日銀は、金融緩和の政策の一環として、当面目指すべき物価上昇率のめどを一%にすると発表いたしました。これは、不完全ながら我が国で初めて導入されたインフレ目標政策です。

また、十月三十日には、日銀総裁と当時の城島光力財務大臣、前原誠司経済財政担当大臣が連署して、日銀と政府の共同声明、アコードを発表し、双方が連携をすることを約束いたしました。

これらは、デフレ突入以降の日銀と政府の連携の強化としては画期的なものでありました。

さて、先月末に公表になりました平成十四年の日銀金融政策決定会合の議事録では、当時の財務副大臣が、日銀に対して、為替介入の効果を高めるために非不胎化の実施や長期国債の買入れ増を会議の席上で提言をしていたことが明らかとなっております。当時の与党の努力を評価したいと思います。

よく決定会合で政府出席者が発言することを日銀の独立性に対する侵害だと解釈する人がいるのですが、法律に根拠のある会合に出席をして発言することに何ら制限があるわけはありません。結果的にそうした提言は必ずしも受け入れられなかったわけですが、やはり何らかの方法で共同声明による政策協定に縛りを持たせることが必要ではないでしょうか。総理にお尋ねをいたします。

次に、日銀の独立性について財務大臣にお尋ねをいたします。

日銀法には独立性という文言が記してあるのでしょうか。また、日銀の独立性の定義はどのようなものでしょうか。自主性という言葉と独立性では意味が違うと思いますが、いかがでしょうか。

次に、安倍総理は、今国会の答弁の中で、日銀が自ら設定した二%の物価安定目標について責任を持ってできるだけ早期に実現することを期待していると度々発言しておられます。あたかも日銀が独立して二%という目標を設定したかのように聞こえます。これは果たして世界的に標準とされる中央銀行独立性の観点からして正しい発言なのでしょうか。

ここで、ほかの国の中央銀行の総裁の発言を引用いたします。米国の中央銀行に当たる連邦準備制度、FRBのベン・バーナンキ議長は世界恐慌の研究家として大変に有名です。官僚のOBではなくて、経済学者なのです。そして、彼自身、昨年の一月にFRBにインフレ目標政策を公式に導入いたしました。

そのバーナンキ議長は、講演の中で、『中央銀行の金融政策の目標は政治当局によって設定されるが、その目標を追求する方法においては政治的支配から独立であるべき』と述べております。さらに、中央銀行の政策遂行において目標の独立性と手段の独立性を区別して考えることは有用であるとして、目標の独立性、すなわち、中央銀行によって政策目標を定めることが自由に行えるようにすることは、民主主義社会では正当化することは難しいことですとまで強調して述べております。

御存じのように、これまで日銀は、物価の安定という日銀法に定められてきた目的ですら達成できていませんでした。そして、独立性を得た一九九八年から、その年からちょうど消費者物価は前年比でマイナスに転落をし、現在に至るまで基本的に前年比ゼロ%からマイナス一%の間で推移してきております。世界で我が国だけが継続的なデフレに陥っているわけであります。長年、日銀を厳しく批判してきたノーベル賞経済学者であるポール・クルーグマンが昨年の春指摘したように、日銀はこれまでその任務に失敗してきたというわけであります。

官僚組織に暴走を許してはなりません。今後は、政府と日銀が事前に相談をして金融政策の目標を設定すべきではないでしょうか。つまり、何%の物価上昇率をいつまでに達成し、そのためにはベースマネーを最大限どのくらいまで拡大することができる、そして、達成できなかったときには明確な説明責任を日銀が果たす、こういった具体的な約束をすべきではないでしょうか。

これまで引用したバーナンキ議長の講演、これは実は、二〇一〇年五月に日本銀行金融研究所主催による国際コンファランスで行われたものなのであります。中央銀行の独立性を曲解して誤った政策を取る日銀への警告の意味があったと解釈すべきではないかと思います。

ここで、総理にお尋ねいたします。政府との具体的な約束なく、日銀自身に単に二%という物価安定目標を設定させたことは誤りではないでしょうか。

また、先ほど、リーマン・ショックへの対応として、各国の中央銀行がバランスシートを拡大し、ベースマネーの供給を増やしたことを申しました。ところが、先日の日銀金融政策決定会合でも、二〇一四年中までしかベースマネーを増やす約束が行われておりません。

総理にお尋ねをいたします。先日の経済財政諮問会議では、日銀白川総裁は、二〇一四年以降の資金供給は状況次第で増え得ると発言をしております。日銀にフリーハンドを与えてしまっていますが、これまでの日銀の失敗の歴史に照らし合わせて、これでも十分だとお考えなんでしょうか。

今後も円安は続くと思います。とすれば、特にエネルギーや食料などの輸入品の価格が高騰する可能性が強くあります。今、物価安定の目標が消費者物価の前年比上昇率で二%となっているわけですが、これは自民党の公約でも同様です。しかし、そこで使われる物価指標は、輸入物価の高騰に左右されてしまう消費者物価総合であってはなりません。食料及び電気代、都市ガス代、プロパンガス、灯油、ガソリン代などのエネルギーを除く指数、いわゆるコアコア指数でなければ、生活感覚からも遠く、また、何の景気回復のための努力もなく自動的に達成されてしまうことにもなりかねません。なぜコアコア指数ではないのですか。財務大臣にお尋ねをいたします。

さて、これまでは日銀法に基づく政府と日銀の連携の在り方についてお尋ねしてきました。そして、円安が進めばおのずと輸入物価が上昇することについて述べました。これからは、今回の補正予算がその円安の影響を十分考慮に入れていないことについてお尋ねをいたします。

今回の対策は、十一月中旬に円安が進み始めてから約二か月たってから完成をいたしました。当然、円安の弊害についても対策を検討する時間的余裕はあったわけであります。ところが、以前の円高が日本経済の問題だった時期の経済対策と同工異曲の内容であることに私は驚きました。

例を挙げますと、民主党が与党の時代に抜本的な見直しをすることとした自動車関係諸税の再検討も先送りされてしまいました。円安でガソリン代が上がるわけですから、ユーザーの負担を考えれば、自動車重量税や取得税といった自動車の購入や保有にかかわる税金はすぐに下げる必要があるのではないでしょうか。

また、自民党の税調会長は、自動車重量税を道路の維持修理に主に使いたいとの発言を先日なさいました。これでは、総理が幾ら一般財源だと強弁なさっても、実際には道路特定財源の復活にほかならないではないですか。

いや、道路特定財源は廃止したとあくまでおっしゃるならば、ガソリンや軽油の価格に含まれている揮発油税や軽油引取税の暫定税率相当分は、その根拠を失っているわけですから、円安の進行に伴ってエネルギー価格の高騰が予想される今、廃止すべきではないでしょうか。

電気料金も円安の影響を受けます。輸入されているLNGや原油の円建て価格が高くなるからです。現在の仕組みでは価格高騰分が自動的に国民の電気料金に上乗せされますが、受益者が限られている公共事業に回す予算を削り、国民があまねく受益できる電気料金への補助金に回すべきではないでしょうか。

パンや麺類の原料となる輸入小麦も高騰します。これも政府による公定価格です。なぜ補正予算で引下げの財源を確保しないのでしょうか。なぜ、こうした国民生活を守り、それゆえ景気刺激効果も極めて大きい円安対策が今回の補正予算に盛り込まれていないのでしょうか。お金の使い方が間違っているんではないですか。総理にお尋ねをいたします。

また、麻生財務大臣は、消費税の引上げについて、景気が悪い中では上げない旨の発言をしていらっしゃいます。私も賛成ですが、どのような景気状況であれば上げないのか、具体的に伺いたいと思います。

これまで述べましたように、金融緩和をしてデフレ脱却を目指すアベノミクスの全体方針は正しいと私も思います。あとは、その実現のための手法と、その成果をいかに国民全体に回していくのかが大きな問題です。

甘利経済財政担当大臣は、先日、業績が良くなったら一時金を増やしたらどうですかと、今年の春闘の中の何らかのタイミングで政府から産業界に働きかけをした方がいいと発言なさいました。一〇〇%賛成です。どうか総理からも働きかけを是非お願いをしたいと思いますが、いかがでしょうか。

物価が上がってもお給料が上がらなければ国民の生活は厳しくなります。所得が増えれば内需も拡大し、景気も好循環に入ってまいります。

以上、額に汗して働く人々の生活を目に見える形で良くしていく政策を実現するために、これから、私も微力ですが、全力で活動することをお約束をさせていただきまして、私からの代表質問を終わらせていただきます。

どうもありがとうございました。(拍手)

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