コミケで発売、「デフレ脱却戦記」脱稿!

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コミケ本「デフレ脱却戦記」の内容を抜粋して紹介します

平成29(2017)年8月13日日曜日、コミケ 東地区 “イ” ブロック 07bに、一日限定で「金子洋一コミケ事務所」を出展します。ミネラルウォーター持参で一日中詰めます。暑さに弱いのでちょっと心配ですが、ぜひ遊びに来てください。会場はご存知、有明・東京ビッグサイトです。

コミケで発売する『デフレ脱却戦記:消費増税をとめろ!編』(A5版ソフトカバー 全153ページ予定)が脱稿しましたので、その内容を抜粋してご紹介します。この本は3年前に出版した「日本経済復活のシナリオ-官庁エコノミスト出身の政治家がデフレの元凶を斬る!」に続く二冊目のものになります。なるべく内容が重ならないように意識して書きましたので旧作の方もぜひお読みください。

当日現場でお買い上げいただいた方には、他では手に入らない「かねこ洋一特製グッズ」(笑)をおまけにつけます。ご来場をお待ちしております。また、コミケ後にネット通販でご購入いただけるような準備を進めております。


(『デフレ脱却戦記:消費増税をとめろ!編』抜粋開始)

はじめに

こんにちは。この本を手にとってくださってありがとうございます。この本は、私が円高克服、デフレ脱却のためにどう取り組んできたのか、特に消費増税問題を中心に、安倍総理、黒田日銀総裁、麻生財務大臣などへの国会質疑で振り返るとともに、現在の経済状況についてどう考えているのか、なにをすべきなのか自分の考えをまとめたものです。

どんなに道が厳しくても日本経済を再生させなければなりません。将来を作り出す次の世代が活躍できる環境を作らなければわが国は滅びます。今、必要な政策はいたずらに財政支出を切り詰めることでも、また、金融緩和政策をやめることでもありません。日本の将来をどうするのかが課題です。しかし今、国会をみてもそういった議論が十分に行われているとは思えません。

人のことは言えません。私も昨年の参議院議員選挙で落選してしまい、どうすれば日本経済を再生することができるのかという議論を国会で行うことができなくなってしまいました。たいへん申し訳なく思っています。政治的な道のりは厳しいです。しかし、必ず現職に復帰し、どんなに政策課題として難しくても日本経済の復活を実現したいと考えています。

そのためにもブログ、SNSなどでの発信を続けていきます。どうかこれからもあなたの力を貸してください。戦い続けることをお約束します。

平成29(2017)年8月13日 コミケにて

前・参議院議員  金子 洋一

『デフレ脱却戦記:消費増税をとめろ!編』 目次

はじめに                                                                     4
第一部:なぜ増税をとめなければならないのか                   5
第二部:安倍総理、黒田日銀総裁などとの国会論戦解説      38
○参議院本会議代表質問(平成25年2月6日)                    39
○参議院財金委員会(平成25年3月27日)                       59
○参議院財金委員会(平成25年3月28日)                       74
○参議院経産委員会等連合審査会(平成25年5月31日)      76
○消費税増税決定(平成25年10月1日)                          84
○国会質問の事前通告文書「質問要旨」を公開                  84
○参議院予算委員会(平成26年3月5日)                         90
○参議院予算委員会(平成26年3月6日)                         103
○消費税増税 5%から8%へ(平成26年4月1日)          116
○参議院財金委員会(平成26年5月15日)                       116
○消費税再引き上げ延期決定(平成26年11月18日)          118
○参議院予算委員会(平成27年2月5日)                         119
○参議院決算委員会(平成27年5月25日)                       143
○消費増税再延期決定(平成28年6月1日)                      152
第三部:資料編(SNS、著作などのリスト)                    153

第一部:なぜ増税をとめなければならないのか

(第一部の内容は省略)

第二部:安倍総理、黒田日銀総裁などとの国会論戦解説

私は第175回から第183回国会までの丸三年間、民主党(当時)参議院議員の中で最多質問回数を記録しました。「景気が回復する前に、消費増税をしてはならない!」これは私が国会の質疑で、また党内での部会で繰り返し主張してきたことです。
そこで、ここでは数多い質疑の中で、デフレ脱却と緊縮財政反対、特にデフレ下での消費税率引き上げ反対の論陣を張ったものを取り上げました。第一部での主張の裏づけとなる質疑がここにあります。
特に緊縮財政の代表が消費増税でした。そこでこれまでの国会での議論で、安倍総理、黒田日銀総裁、麻生財務大臣、甘利経済財政担当大臣などの方々に対してどのように議論してきたのか、解説を加えながらご紹介します。
なお、読みやすくするために公式の議事録に傍線や本来の文意を変えない範囲で修正を加えたところがありますのでご了承ください。

○参議院本会議代表質問(平成25年2月6日)

平成24(2012)年12月の総選挙で、当時、私が所属していた民主党は敗北し下野することになりました。できるだけ早く、できることならばわれわれが政権にいる間にデフレ脱却を実現したかったのですが、それは夢と消えました。

政権再交代直後の第183回通常国会、冒頭の麻生財務大臣財政演説に対する代表質問に登壇しました。(注:全文はこちらのページです。

 【アベノミクスのうち、大胆な金融緩和には賛成だ】

○金子洋一君 さて、いわゆるアベノミクスについて取り上げます。

 改正日銀法が施行されました一九九八年から続く我が国経済のデフレ、ここからの脱却や経済再生の重要性から、日銀と密接に連携した強力な金融緩和と大型補正予算の必要性については政府と認識を共有いたします。特に、円高が長期にわたって続いていた原因は、デフレとの戦いが十分でないことにあります。この意味では、日銀法に明言されているように、政府と日本銀行が政策の十分な調整をすることが不可欠であります。

 

今もそうですが、円高・デフレ対策は、平成25(2013)年の春当時、わが国経済の最優先課題でした。円高対策で円売ドル買を行う為替市場介入が財務省によって行われたりもしましたが、もとより大きな効果を発揮するわけもありません。通貨供給量を増やす不退転の決意に裏打ちされなければ、為替介入の効果には限界があるのです。

 ここでまた日銀法について取り上げたのも、暗に「本来とるべき政府と日銀の政策の協調がきちんと行われていない!」と批判をしているわけです。

 

【リフレ政策の採用に敬意】

○金子洋一君 特に、デフレ脱却にインフレ目標政策などの大胆な金融緩和をもって取り組むことに心から賛成をいたします。私は、初めて国政選挙に挑戦をいたしました平成十五年から、このようなインフレ目標導入などのリフレ政策の実施を訴えてまいりました。そして、初当選の直後から、民主党内でデフレ脱却議員連盟という金融政策にスポットライトを当てた議員連盟を同僚議員とともに立ち上げ、日本銀行による金融政策の大幅な強化の必要性を訴えてまいりました。たとえ党派が違ったとしても、その採用には心から敬意を払いたいと考えております。

 

正しいことは与党のやったことでも率直に認めなければなりません。国民を意識すればそういう結論になるはずです。

『安倍政権は日米関係の強化などを目指した外交政策を採るかたわら、「Economics」をもじって「アベノミクス」と呼ばれる経済政策を採用した。これは、「大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間の投資を引き出す成長戦略の『3本の矢』でデフレ脱却と過度な円高を是正していく」政策だ。特に効果を挙げたのは「量的金融緩和政策」であり、簡単に言えば「お札を刷る」ことで、経済を刺激しデフレ脱却を図
はかる 「リフレ政策」だった。この政策は日本経済を復活させるに当たって、とても効果的な手段であった。』と私の著作「日本経済復活のシナリオ-官庁エコノミスト出身の政治家がデフレの元凶を斬る!」の中でもまず誉めています。

 

【中国からの身勝手な批判には気をとられるな】

○金子洋一君 さて、今日現在、日経平均は約一万一千円程度、一ドルは九十二円程度。解散・総選挙が現実味を帯びるにつれて円安が進み、米国株式は横ばいの状況であるにもかかわらず、我が国では株高となりました。十一月中旬の日経平均八千六百円台、一ドル七十九円台から大幅に改善をされました。そして、三か月近くにわたって円安傾向が続いております。

 また、中華人民共和国など一部の国から我が国が円安誘導をしているとの批判が出ているようですが、デフレ脱却の目的のために金融政策を変えようとしたことによるものであり、為替市場への介入があったわけではありません。海外からの非難は、我が国の製品と競合する自国産品の輸出が伸びなくなるという極めて身勝手な理由によるものです。どうか、総理におかれましては、そういったためにする批判には耳を貸さず、我が国の国益を考えて邁進していただきたいと思います。

 

わが国の力を削ぐことに専念する他国の思惑にとらわれることはありません。政治家ならわが国の国利民福(古い表現ですが)を追求すべきです。

 

Q:しかし財政政策は公共事業中心ではダメではないか】

○金子洋一君 以上のように、アベノミクスの大胆な金融政策の基本的な方向性については賛同いたします。しかし、それ以外、特に今回の補正予算に見られるような政府の財政支出の在り方を見ますと、このままでよいのかという懸念を感じざるを得ません。

 一例を挙げれば、今回の緊急経済対策を決定した一月十一日の閣議で、安倍総理は、デフレ、円高からの脱却には政府、日銀の連携による大胆な金融政策が不可欠と改めて強調されました。それはよいと思います。その上で、財政出動の狙いについて、日銀が供給したお金を使うには、政府が率先して需要をつくり、景気の底割れを防がなければならないと発言されたのです。

 こうした財政政策に関する考え方は、失礼ながら旧態依然としたオールドケインジアンのものであります。変動為替相場制の下にある我が国では、単に財政支出をしても、政府が率先して需要をつくっても、大幅な金融緩和がなければ、円高が生じ結果的に政府支出がつくり出した需要は大部分が海外に流出してしまいます。マンデル・フレミング効果と申しますが、これが近年の公共事業の乗数低下の大きな原因であると言われております。

 公共事業の乗数低下にもう一つの原因があるとするならば、我が国の建設土木業界の事業処理量が限られていて、景気対策により大量の公共事業が発注されると、その分だけ民間の工事の消化がストップしてしまうことが考えられます。いわば、ボトルネックが生じてしまうのです。

 具体的にお尋ねをいたします。

 被災地である福島県内の昨年十二月の有効求人倍率が一・一八倍と、統計を取り始めて初めて全国一位になりました。これ自体は大変喜ばしいことであります。しかし、復興需要の増加で、建設関係、これが三・七七倍、工事現場の警備員など保安関係、これは六・五六倍など、そういった求人が増えたためであり、特定の職種に偏りがございます。(中略)

 こうしたことを考え合わせれば、経済対策で公共事業を増やした方がいいのか、それとも公共事業以外の事務や製造関係の仕事が増えた方がいいのか、被災地福島の復興を第一に考えれば、望ましいのは公共事業以外ではないでしょうか。経済対策は公共事業以外に力点を置くべきだと考えますが、この点について総理にまずお尋ねをいたします。

 

当時、公共事業では、東北の復興で人手や資材の需要と供給が逼迫していました。道路、港、建物などの復興事業を行おうとしても、人手不足などがボトルネックになってしまっていたのです。そこにさらに公共事業を追加したのでは、人件費などが急激に上がるだけになります。公共事業よりも後で述べる消費者からみた物価上昇対策のために国民一人ひとりにいきわたる補助金を実現すべきではないかと考えていました。もちろん、答弁は色よい返事がもらえるわけもなく、いわゆる「塩対応」でした。

まだこの時点では予算の概要が明らかではなく、また消費増税が行われるかどうか不明なため、プライマリーバランスの赤字削減を急ぐべきではないなどの緊縮財政批判はしていません。このことは後々大きな問題となります。

 

A:公共事業をはじめとする三本の矢で景気拡大をめざす】

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 金子洋一議員の御質問にお答えをいたします。公共事業の効果と経済対策の力点についてのお尋ねがありました。

 今回の緊急経済対策における公共事業については、老朽化対策や耐震化など、国民の生活を守る事業、成長や地域活性化を促す事業に重点化をしており、国民の生命や財産が守られるという重要な効果を有するものであると考えております。これらを実施することで、政府自ら需要を創出することによる経済効果が見込まれます。また、事業の執行に当たっては、人員の不足に応じた施工方式の導入等の取組を進めることにより、民間工事に支障を生じないよう努めることとしております。

 こうした機動的な財政政策に加え、大胆な金融緩和、民間投資を喚起する成長戦略の三本の矢を一体的かつ強力に実行していくことで、経済再生を推し進め、雇用や所得の拡大につなげてまいります。

 

 

Q:リーマンショックへの誤った対応が円高を生んだのではないか】

○金子洋一君 こうした公共事業を始めとする財政政策重視は、過去の自公政権でも顕著であります。これから、麻生財務大臣が総理でいらした二〇〇八年に起きたリーマンショックへの対応を取り上げます。

 当時の経済財政担当大臣(金子注:故・与謝野馨氏のこと。)は、リーマン・ブラザーズの破綻について、『日本経済にも蜂が刺した程度の影響はあるが、日本の金融機関が傷むことは絶対にない』としました。また、『あらゆる専門家の意見を聞いたが、一年で元に戻るというのが共通意見だった』と述べました。しかし、問題となったのは、金融機関の健全性などではなく、急激な円高を通じた我が国経済への悪影響だったことは誰の目にも明らかです。

 政府と日銀の政策的な協調を定めた日銀法第四条があるにもかかわらず、日銀は、景気刺激を目指した買いオペなどを行うこともなく、ほとんどそのバランスシートを拡大させず、ベースマネーの供給を増やそうとしませんでした。諸外国では、リーマンショックへの対応のため、二〇〇八年九月からその年末までに、米国では約二・五倍、英国では約三倍に中央銀行がバランスシートを拡大させ、その後も通貨供給量を増やし続けたのにもかかわらずです。

 その結果、当時一ドル百十円近かった円レートが、年末には九十円台を大きく割り込む急激な円高ドル安を招きました。当時の政権は、他の先進国で行われた大胆な金融緩和ではなく、経済対策による財政支出で対応しようとしましたが、もちろんこれは有効ではありませんでした。輸出は激減し、リーマンショックの震源地である米国での鉱工業の生産は約一五%しか減少しなかったのにもかかわらず、我が国の生産はその倍以上の三〇%以上下落をしたわけであります。

 その後、製造業で働いていた非正規労働者に対する派遣切りが横行し、生活保護者が急増いたしました。これは、働くことのできる若い失業者が生活保護に大量に流入したことが原因です。現在、与党は生活保護費を削減しようとなさっているようですが、私はそれに反対です。今日の生活保護問題の一端はここに端を発しております。麻生財務大臣、当時の総理としてその反省はおありでしょうか。

 

リーマンショックへの対応が財政政策だけになり、金融緩和を行わなかったことが急激な円高を招いたことを説いています。ここに述べたように英米では、中央銀行が2.5倍から3倍以上にバランスシートを拡大したにも関わらず、わが国ではまったく増やされませんでした。これが円高ドル安の原因です。

いまでは完全に忘れ去られた議論ですが、円高でも大丈夫だなどといった議論が一部の不心得な政治家などからも出ていました。その円高が企業の収益を損ない、工場の海外移転など空洞化から来るリストラなどが特に非正規労働者を直撃したわけです。当然、答弁は塩対応でした。

 

○国務大臣(麻生太郎君) リーマンショック後の対応や生活保護についての御質問をちょうだいしました。

 リーマンショック後の世界的な金融危機を受けた実体経済の急速な悪化などを踏まえて、日本においても、諸外国と同様に雇用対策を含む累次の経済対策を実施したところです。雇用調整助成金などがその例だと存じますが、こうした対応は、経済の底割れを防ぎ、経済を下支えするために必要なものであり、有効でなかったとの御指摘は当たらないと考えております。

 今般の生活扶助基準の見直しにつきましては、自公民三党で成立をさせた社会保障制度改革推進法の規定に沿って、専門的な検証結果などを踏まえ、適正化を図る観点から行うものであります。

 

Q:金融緩和なくしてデフレ脱却なし】

○金子洋一君 このように、大胆な金融緩和を行わずに単に財政支出を増やしても景気は良くなりません。自民党政権では、バブル崩壊以降、事業規模で約二百兆円の公共事業を行ってきましたが、経済再生もデフレ脱却も実現できませんでした。その経験が生かされておりません。金融政策が主であって、財政政策は従でなければなりません。景気浮揚効果がない支出は慎むべきです。この点について総理の答弁を求めます。

 

財政支出を増やしても金融緩和を行わなければ円高となり、国外に需要が流れてしまいます。だからこそまずは金融緩和に力を入れるべきです。

ただ当時は、自公新政権が霞が関のペースにはまり、うかうかと緊縮財政に流されるとは考えていなかったために、消費増税以外の財政緊縮に対する警告が足りなかったかもしれません。 

 

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 経済財政政策についてお尋ねがありました。 これまでの累次の経済対策は一定の景気下支え効果はあったと考えていますが、その延長線上にある対応では経済の再生を進めることはできません。このため、私の内閣では、これまでとは次元の違う大胆な政策パッケージとして、大胆な金融政策、機動的な財政政策、そして民間投資を喚起する成長戦略という三本の矢を一体として実行してまいります。

 なお、今般の今年度補正予算及び来年度予算に盛り込んだ公共事業については、国民の生活を守り、地域活性化を促すために必要なものと考えております。

 また、政府としては、二%の物価安定目標をできるだけ早期に実現すべく、日本銀行が大胆な金融緩和を推進することを強く期待しております。

 

【バレンタイン緩和はとりあえず効果があった】

○金子洋一君 さらに、大胆な金融緩和を保障する政府と日銀の連携についてお尋ねいたします。

 私ども民主党政権の下で、昨年二月十四日、日銀は、金融緩和の政策の一環として、当面目指すべき物価上昇率のめどを一%にすると発表いたしました。これは、不完全ながら我が国で初めて導入されたインフレ目標政策です。

 また、十月三十日には、日銀総裁と当時の城島光力財務大臣、前原誠司経済財政担当大臣が連署して、日銀と政府の共同声明、アコードを発表し、双方が連携をすることを約束いたしました。

 これらは、デフレ突入以降の日銀と政府の連携の強化としては画期的なものでありました。

 

今は完全に忘れ去られていますが、われわれが政権内で主張し、日銀が抵抗しきれなくなった結果実現した金融緩和が2012214日のいわゆる「バレンタイン緩和」で、これは当時としては画期的でした。なにせアナウンス効果だけでしばらくの間円安が進んだほどでした。後に私が国会質疑で指摘しましたが、実際には「ベースマネー」、つまり「世の中の現金と、銀行が日銀に預けている当座預金の合計」が増やされていないことがすぐに明らかになり効果は失われてしまいましたが。

なお、この代表質問後に、「不完全ながら我が国で初めて導入されたインフレ目標政策」という表現に対して党内で文句がつきました。民主党政権がやったことに対して「不完全」なんていうのはけしからんということでした。私は、他党の政策でもいいものはいい、わが党のものでも悪いものは悪いといつも本音でしゃべるので大分受けが悪いようです。

 

【白川日銀に縛りをかけろ】

○金子洋一君 さて、先月末に公表になりました平成十四年の日銀金融政策決定会合の議事録では、当時の財務副大臣が、日銀に対して、為替介入の効果を高めるために非不胎化の実施や長期国債の買入れ増を会議の席上で提言をしていたことが明らかとなっております。当時の与党の努力を評価したいと思います。

よく決定会合で政府出席者が発言することを日銀の独立性に対する侵害だと解釈する人がいるのですが、法律に根拠のある会合に出席をして発言することに何ら制限があるわけはありません。結果的にそうした提言は必ずしも受け入れられなかったわけですが、やはり何らかの方法で共同声明による政策協定に縛りを持たせることが必要ではないでしょうか。総理にお尋ねをいたします。

 

先のバレンタイン緩和でも、日銀のサボタージュが明らかになりましたが、やはり当時の白川総裁体制の日銀は、組織の利益のみを優先し、国民の利益になる金融緩和を自主的に行うとは考えられなかったです。だから日銀法改正をはじめとした政治の力で監視をしなければなりません。このあたりは機会があれば「デフレ脱却戦記第二巻」で国会答弁を引用してお話したいと思います。答弁は、日銀のいわゆる「独立性」に配慮した答弁でした。

 

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 共同声明に関連したお尋ねがございました。

 金子洋一議員から、私の金融政策については評価をいただいたこと、大変感謝を申し上げたいと思います。

 共同声明に基づき、経済財政諮問会議において、原則として四半期ごとに金融政策と物価等に関する集中審議を行うこととしております。透明性の高い形で金融政策についてしっかりと検証することにより、説明責任を強化するとともに、共同声明の実効性を担保してまいります。

先月の金融政策決定会合における日銀の緩和措置についてお尋ねがありました。

 政府としては、二%の物価安定目標をできるだけ早期に実現すべく、日本銀行が大胆な金融緩和を推進することを期待しておりますが、そのための具体的な金融政策の手法については、政府としてコメントすることは差し控えます。

 なお、共同声明では、金融政策等について経済財政諮問会議で検証することとしており、日銀にしっかりと説明責任を果たしてもらう仕組みとしているところであります。

 

日銀は戦前の陸軍のように金融について統帥権をふりかざしているのではないかというのが、私の問題意識です。過去の陸軍ももちろん、現在の日銀であろうと、財務省であろうと官僚の暴走を許すわけにはいきません。

 

【日銀にあるのは自主性に過ぎない】

○金子洋一君  次に、日銀の独立性について財務大臣にお尋ねをいたします。日銀法には独立性という文言が記してあるのでしょうか。また、日銀の独立性の定義はどのようなものでしょうか。自主性という言葉と独立性では意味が違うと思いますが、いかがでしょうか。

 

○国務大臣(麻生太郎君) 日銀の独立性についての御質問をちょうだいしました。日銀法では、金融政策における日銀の独立性について、日本銀行の通貨及び金融の調節における自主性は尊重されなければならないと規定されており、独立性ではなく自主性という文言が用いられているのは御存じのとおりです。

 これは、平成九年の日本銀行法改正時の基本的考え方となりました中央銀行研究会報告書におきまして、日本の制度の下では、日本銀行は国会や内閣から完全に独立した存在ではあり得ないとの考え方が示されたことを踏まえたものと承知をいたしております。

 

【バーナンキやクルーグマンは日銀を厳しく批判】

金子質問

次に、安倍総理は、今国会の答弁の中で、日銀が自ら設定した二%の物価安定目標について責任を持ってできるだけ早期に実現することを期待していると度々発言しておられます。あたかも日銀が独立して二%という目標を設定したかのように聞こえます。これは果たして世界的に標準とされる中央銀行独立性の観点からして正しい発言なのでしょうか。

 ここで、ほかの国の中央銀行の総裁の発言を引用いたします。米国の中央銀行に当たる連邦準備制度、FRBのベン・バーナンキ議長は世界恐慌の研究家として大変に有名です。官僚のOBではなくて、経済学者なのです。そして、彼自身、昨年の一月にFRBにインフレ目標政策を公式に導入いたしました。

 そのバーナンキ議長は、講演の中で、『中央銀行の金融政策の目標は政治当局によって設定されるが、その目標を追求する方法においては政治的支配から独立であるべき』と述べております。さらに、中央銀行の政策遂行において目標の独立性と手段の独立性を区別して考えることは有用であるとして、目標の独立性、すなわち、『中央銀行によって政策目標を定めることが自由に行えるようにすることは、民主主義社会では正当化することは難しいことです』とまで強調して述べております。

 御存じのように、これまで日銀は、物価の安定という日銀法に定められてきた目的ですら達成できていませんでした。そして、独立性を得た一九九八年から、その年からちょうど消費者物価は前年比でマイナスに転落をし、現在に至るまで基本的に前年比ゼロ%からマイナス一%の間で推移してきております。世界で我が国だけが継続的なデフレに陥っているわけであります。長年、日銀を厳しく批判してきたノーベル賞経済学者であるポール・クルーグマンが昨年の春指摘したように、『日銀はこれまでその任務に失敗してきた』というわけであります。

 官僚組織に暴走を許してはなりません。今後は、政府と日銀が事前に相談をして金融政策の目標を設定すべきではないでしょうか。つまり、何%の物価上昇率をいつまでに達成し、そのためにはベースマネーを最大限どのくらいまで拡大することができる、そして、達成できなかったときには明確な説明責任を日銀が果たす、こういった具体的な約束をすべきではないでしょうか。

 これまで引用したバーナンキ議長の講演、実は、二〇一〇年五月に日本銀行金融研究所主催による国際コンファランスで行われたものなのであります。中央銀行の独立性を曲解して誤った政策を取る日銀への警告の意味があったと解釈すべきではないかと思います。

 ここで、総理にお尋ねいたします。政府との具体的な約束なく、日銀自身に単に二%という物価安定目標を設定させたことは誤りではないでしょうか。

 

ながながとバーナンキの発言を引用しましたが、これはこの代表質問を聞いているだろう日銀官僚への牽制でした。彼の発言を馬耳東風と聞き流していた日銀官僚に対して、バーナンキと呼応する勢力が国会にもいるのだということを見せ付けてやらなければなりません。

 

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 物価安定目標の設定についてのお尋ねがありました。政府としては、デフレ脱却には従来の政策枠組みを大きく見直していくことが必要であると、こう考えておりました。

共同声明の取りまとめに当たっては、こうした考え方の下、日本銀行と密接な意思疎通を行いました。共同声明に示された二%の物価安定目標は、こうした政府との意思疎通を踏まえ、日本銀行が定めたものであります。いずれにしても、日本銀行が責任を持って、できるだけ早期に物価安定目標を実現することを期待しております。

 

【白川日銀総裁にフリーハンドを与えるな】

○金子洋一君 先ほど、リーマンショックへの対応として、各国の中央銀行がバランスシートを拡大し、ベースマネーの供給を増やしたことを申しました。ところが、先日の日銀金融政策決定会合でも、二〇一四年中までしかベースマネーを増やす約束が行われておりません。

総理にお尋ねをいたします。先日の経済財政諮問会議では、日銀白川総裁は、二〇一四年以降の資金供給は状況次第で増え得ると発言をしております。日銀にフリーハンドを与えてしまっていますが、これまでの日銀の失敗の歴史に照らし合わせて、これでも十分だとお考えなんでしょうか。

 

当時の白川日銀総裁は、みずからの組織的利益しか考えない、日銀総裁としてはまったくの欠格者でした。そのような総裁にフリーハンドを持たせれば、これまでと同じ失敗を繰り返してしまいます。安倍総理の答弁は、すれ違い答弁。ただし、報道によれば「日本のデフレは批判されるほど有害ではなく、日銀にデフレを解消する力はない」と辞任後にどうどうと本音を発言した白川氏を、結果的に任期前の辞任という形に持っていけたことは政府の功績だったと思います。

 

○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先月の金融政策決定会合における日銀の緩和措置についてお尋ねがありました。

 政府としては、二%の物価安定目標をできるだけ早期に実現すべく、日本銀行が大胆な金融緩和を推進することを期待しておりますが、そのための具体的な金融政策の手法については、政府としてコメントすることは差し控えます。

 なお、共同声明では、金融政策等について経済財政諮問会議で検証することとしており、日銀にしっかりと説明責任を果たしてもらう仕組みとしているところであります。

 

【補正予算は円安の悪影響を考えるべきだ】

○金子洋一君 今後も円安は続くと思います。とすれば、特にエネルギーや食料などの輸入品の価格が高騰する可能性が強くあります。(中略)今回の補正予算がその円安の影響を十分考慮に入れていないことについてお尋ねをいたします。

 今回の対策は、十一月中旬に円安が進み始めてから約二か月たってから完成をいたしました。当然、円安の弊害についても対策を検討する時間的余裕はあったわけであります。ところが、以前の円高が日本経済の問題だった時期の経済対策と同工異曲の内容であることに私は驚きました。

 

質問中では言及していませんが、金融緩和を行えば、企業の売り上げなどはよくなるはずですので、ボトルネックになるのは、消費者が直面する食料品やエネルギー関連などの輸入物価の高騰です。つまり、円安対策が重要になってくるのです。企業は円安のメリットで好況になるのですから、公共事業は必須ではありません。円安のデメリット、つまり輸入物価の上昇にさらされる消費者に対する助成金、補助金が必要になるのです。

もちろん私の自動車、エネルギー、食料品価格などへのてこ入れという提案に対して安倍総理、麻生財務大臣の答弁はゼロ回答でした。しかしその後の歴史をみれば私の指摘が正しかったことは明らかです。こうした補助金があれば、2014年の消費増税後の個人消費の低迷もあるいは和らげることができたかもしれません。

 (これ以降の代表質問、および第2部の本文省略)

第三部:資料編(SNS、著作などのリスト)

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(注:現職時のものです)

著作:「日本経済復活のシナリオ-官庁エコノミスト出身の政治家がデフレの元凶を斬る!」
青林堂 2014年刊
本書との内容の重複はほぼありません。ネットでお求めいただけます。ぜひお読みください。

YouTubeでも、ニッポン放送『ザ・ボイスここまで言うか!』 の宮崎哲弥さん、高橋洋一さんそれぞれがホストの過去の出演回の録音が聞けます。他には田中秀臣上武大学教授との動画がいくつもあります。また、事務所作成の「エッグノミスト かねこ洋一が作る卵料理」というお笑い動画もあります。
1時間以上の講演から短いものまで、わが事務所がアップしたものから第三者がアップしたものまで動画がアップロードされていますので質は保証できませんが、よろしければ検索してご覧ください。

(本文からの抜粋は以上)

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