デフレ脱却がまず大切、財政の健全化などまだまだ早い

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私を以前から応援してくださる皆さんに、7月17日、約一時間半、金融緩和がまだ必要であることとデフレ下の増税をしてはならないことを講演しました。「デフレ脱却がまず大切。財政の健全化などまだまだ早い。出口戦略が必要な段階でもありません。‬」そういった内容でお話しました。そのレジュメをアップします。

おカネの流れを正常化させよう

日本経済の根本的欠陥は、おカネの流れがおかしくなってしまったこと。つまり企業が設備投資も賃上げもせずお金をただ貯蓄に回していることです。国内で誰もカネを使わないので、政府は国債を銀行に売ってカネを吸い上げます。その銀行のおカネがどこからきたかというとわれわれの預金です。そして、政府が景気対策などで民間のかわりにカネを使って、国内の需要を下支えしているのです。政府が赤字になったのはその結果です。現在はさらにおカネの流れが、消費増税でおかしくなってしまった今は政府が赤字を続けなければなりません。

もうひとつ忘れ去られている論点は、金融引き締めや財政緊縮は、持たざるものにより厳しい悪影響がでるということです。つまり、金融引き締めにより金利が上がれば企業にしろ自営業にしろ経済活動での利潤が落ちてしまう。そうなればサラリーマンのお給料は上がるはずもなく、生活は厳しくなる一方です。

最近の統計を見れば貯蓄額がゼロに近い人が多数派なのです。そうした人はサラリーマンとしてお給料に頼っています。金利が引き上げられれば、企業や個人事業が儲からなくなります。そうなればお給料も上がりません。金利が上がっても、投資するおカネがあれば儲かりますから預金生活者や投資家は大丈夫ですが、働く以外の収入のない人々にとっては大きな不幸になります。

また、財政を緊縮するということは、政府や都道府県、市町村がタダまたは安価に提供しているサービスを切り詰めたり、有料化したりすることなので、これもまた所得の低いわれわれにマイナスの影響が出ます。一方で国債の金利は上がるので、金融資産を持っている裕福な人や、ファンドにはメリットが出てきてしまいます。

わが国のいわゆる「リベラル派」は、外交は中国北朝鮮に宥和的でまさにリベラルですが、経済政策については財政削減や金融引締めを好みます。ところが私は外交安保については、中朝の動きに警鐘を鳴らすけれど、内政では所得再配分や金融緩和を重視するので、組合せが逆で、いわば米国型リベラルなのかもしれません。

批判ではなく、何をしたいのか、政策を打ち出せ

選挙に勝てばいいという政策を打ち出すだけでは、わが国はよくなりません。政権との対立軸が必要なら、手垢のついたイデオロギーに囚われるのではなく、「緊縮財政をやめて金融緩和+教育子育て予算を純増」、「すでに欧州で法定化されている11時間インターバル制導入など労働時間短縮」などにしてはどうでしょうか。十分に政権との差別化になると思います。昨年の参議院選挙でも、朝日世論調査で、自公の議席が過半数を上回った理由を尋ねると、「首相の政策が評価されたから」は15%で、「野党に魅力がなかったから」が71%でした。

今、野党にはこの点の反省が必要です。政権の批判ばかり言っている場合ではありません。金融緩和をしっかりと実現して、経済を成長させ、同時に無理な財政再建路線を離れる。長期国債年10兆円の追加発行で教育や長期的な基礎研究、技術革新にカネをつぎ込む。こうしたことは、長い眼で見ればわが国の今後の経済成長のために必要なことですが、短期的な視野ではリスクも大きく採算に合いません。短期的に採算が合わなくて民間企業はやらないからこそ政府の出番です。こうした政策を取ろうとすれば必ず支持は集まりますし、現実にこうした政策をふんだんな資金で支え続ければ日本経済は必ず復活します。

日本経済は復活します

私の基本的な考え方をお示しします。これは2011年8月19日(金)、横浜のホテルキャメロットジャパンで「税理士による金子洋一後援会」の設立総会で行った講演内容の要約です。なぜ6年も前の記録を取り出したのかといえば、当時は、「大胆な金融政策」を掲げて安倍晋三氏が二回目の総理大臣として登場する1年以上も前のことであり、当然アベノミクスなど影も形もなかった時代だったからです。タイトルは「日本経済は必ず復活します。」でした。(ブログ「日本経済は必ず復活します。」ぜひご覧ください。)

緊縮財政はいけない

われわれは子どもの頃から「自分のお財布の中にある以上のお金を使ってはならない」と教えられてきました。だからそれが政府にも当てはまるのだと霞ヶ関の官僚が言えばすんなりと受け入れてしまいそうになります。しかし、現実はそうではありません。
政府にはおカネを発行する力がありますが、われわれの家庭にはありません。ここが大きな違いです。

そしておカネをどのくらいの金額、どうやって発行するかというテクニック、つまり金融政策が国では大切なのです。
支出を切り詰めることが万能薬だと主張する人々、つまり財政緊縮を奉ずる人々(官僚や国会議員のほとんどの人々)は、例えば財政赤字を削減すれば金利が下がっていいことが起きると主張しています。理屈では分からないではありませんが残念ながら歴史的な事実ではまったく裏付けられていません。
彼らの議論は、国の赤字を削減すれば、消費者は安心し、企業は投資を増やし、「国の国際競争力」を増すというものです。特にお笑いは「非ケインズ効果」です。緊縮財政で景気が悪くなり、それでも国民、資産がないただのサラリーマンが喜んで支出を増やすはずだという非ケインズ効果が日本でも生じるという人々は国民がおろかで合理性のかけらもないと考えているに違いありません。
最近、世界の政治に新風を吹き込んだ英国のコービン労働党党首の主張、カナダのトルドー首相、米国民主党のサンダース氏らの主張はともに緊縮財政をやめようというものでした。それはなぜでしょうか。景気が悪くなるということもさることながら、もっと大切なことはわが国の将来世代の未来が失われてしまうからです。財政削減をすれば、将来の世代に対する子育て、教育、生活の基盤となるインフラ、こうした大切なものが真っ先に切り捨てられ、損なわれてしまうからです。
ギリシャは、EU統合に悪乗りして、借りるべきでないカネを低利で借りて浪費してしまいました。日本は、使うべきお金を政府の政策の失敗で使わずに、まだ返す必要もない借金の返済に充てて不況に陥りました。まったく原因が違います。原因が違えば処方箋ももちろん別でなければなりません。
そもそも、低所得者に重い負担が生じる逆進性がある消費税を増税して社会保障の財源をまかなうという発想自体おかしいのです。2009年の麻生内閣下での税制改正で「3年以内に消費増税法を作ること」が法定されました。そこで法定されたことが大義名分となって、2012年に民進党、当時野党の自民党、公明党が増税法を可決しました。われわれが党内議論で全力をあげて当時の執行部と対決して法案修正で追加した「景気条項」も無視され、2014年4月には最終的に増税が行われました。残念です。今こそ増税で緊縮財政に陥るのではなく、景気を回復させ、その結果得られる法人税、所得税などの自然増収分を将来のための財源にまわすことが必要です。

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