競馬パート1国入りとジャパンカップ

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来年から日本の中央競馬は、世界で16番目のパートI国として正式に承認されることが決定しました。このパート1国というものは、「国際セリ名簿基準委員会」(International Cataloguing Standards Committee)による区分で、現在世界に16カ国あり、いわば競馬の先進国とでもいうものです。この「競馬先進国」入りで、我が国の重賞レースのほとんどが国際レースとしてのランキングを得ることになります。このパートI国入りには以下のようなメリットがあるといわれています。

 パートI 国昇格によって、日本の競馬は、英、仏、米等、現パートI 国の競走と同等の高い国際的価値を持つことになり、以下のようにさらなる発展の可能性を得ることになりました。

(1)  日本産馬が国内で活躍することによって、その馬とその血統は広く国際的な評価を得ることができるようになります(日本産馬の国際的評価向上)。

(2)  日本の国際交流競走に参戦する外国調教馬にとっても賞金のみならずステータスの面でも国際的評価が得られることから、より優良な外国調教馬の出走が促進されますので、日本の競馬の質をより一層高めることができます(日本の競馬の一層のレベルアップ)。

(3)  日本の競馬は世界に通用する第一級のスポーツ・エンターテイメントとしての評価が確固たるものとなり、良好なブランドイメージの確立を通じて国内的な競馬の振興を図れます(ブランドイメージの向上)。

(4) これらのことにより、日本産馬の国際競争力が高まり、近隣アジア諸国を中心に日本産馬輸入の機運を高め、輸出を促進することができます(日本産馬の輸出促進)。 (以上、日本中央競馬会サイトより)

この発表直後に行われるジャパンカップでは、日本馬として、先の凱旋門賞で3着に入線(入線後失格)したディープインパクト、キングジョージで3着となったハーツクライらが出走します。一方で、外国からは欧州年度代表馬のウィジャボードがきますが、さほど人気にはならないようです。

昭和56年の第1回ジャパンカップでは、米国のG1勝ち馬のザベリワンあたりが目玉で、快速馬サクラシンゲキを道中びっしりマークしたにもかかわらず2着に入ったカナダの無名馬フロストキングに、私の大好きだったモンテプリンスもホウヨウボーイも歯が立たなかったのです。このレースを手に汗握ってテレビで観戦したものとしては、隔世の感があります。他にも、オセアニア最大のレースで、レース当日は地元の州が休日になるというメルボルンカップをデルタブルースとポップロックで1,2着独占するなど近年の日本馬の活躍はめざましいものがあります。

しかし、現在の活躍は、名種牡馬サンデーサイレンスを輸入した社台グループの活躍のみに頼るところが大きいことから、いささか安定性にかけます。日本中央競馬会と公営競馬が並立していることも非効率的です。海外G1を既に勝っているコスモバルクがいつまでも格下に見られてしまうことも公営競馬出身だということが原因の一つではないでしょうか。実際には、公営という厳しい環境でもこれだけの成績を残せたということは馬の素質の証明であってこそ、低く評価すべきものではありません。

また、パートI国入りを契機に、海外から競走馬生産への開放圧力が一層強まるのではないでしょうか。ドバイの王族の手になるゴドルフィングループあたりが、中央競馬の世界最高額の賞金と日本国内の市場を目指して本格参入してきた場合、既に気息奄々たる中小の生産家はおろか社台グループですら激しい競争にさらされ、危機に陥るのではないでしょうか?ドバイを含むアラブ首長国連邦UAEは日本に先んじて2003年にパート1国入りしただけですが、なにせ向こうは、砂漠の民であり、馬を何よりも尊ぶ民族性で、お金もあります。日本では競馬はしょせんは賭け事にすぎませんが、あちらにとって馬は、武人のたしなみとでもいうものでしょう。

また、気になることは「国際セリ名簿基準委員会」(International Cataloguing Standards Committee)という海外の組織によるランキングだということです。大変古い話ですが、19世紀末、米国産馬が急速に活躍をし始めた時期、英国のジョッキークラブが、米国産馬を閉め出すために、当時既にイギリスの血統書台帳、ジェネラルスタッドブックに登録されていない馬を祖先に持つものはサラブレッドとは認めないとするジャージーアクト(ジャージー規制)を作ったことがありました。昔、日本にもサラ系という言葉がありましたが、アメリカ産馬はそれ以下の、きわめて恣意的な扱いを受けて、イギリスの競馬に出走できなくなってしまったのです。仮の例にすぎませんが、日本の競馬と馬産が順調に成長していき、海外への輸出なども順調に行われはじめた時に、例えば、パート2国で生まれた馬が祖先の一定割合を超えているものに不利益な扱いをするなど、突如、第二のジャージーアクトが立ちはだからないとも限りません。

日本国債へのムーディーズによるランキングの問題を思い起こすと、競走馬生産という国内産業が果たして海外のランキングにあまりに左右される状態になるのはどうかと思います。競馬の問題だけではなく、国際基準を海外の手で恣意的に作られる状況に陥ることはできるだけさけなければなりません。(でも、こういうことには日本人は、政治家も役人もマスコミも鈍感なんですよね・・・)

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