このタイミングの追加利上げに反対!

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福井俊彦日本銀行総裁は、11月28日の名古屋での各界代表者との懇談で、追加利上げを推進すべきだと発言しました。私は、現時点でのこのような発言をすることに反対です。

日銀のウエッブサイトには、その後の記者会見要旨はありますが、残念ながら懇談の記録はありません。そこで、新聞の報道によると、概略「追加の利上げは、景気引き締めの目的ではなく、将来の物価や資産価格高騰リスクへの対応のためである。景気を長持ちさせるために、現在の低い金利水準を適切に調整することで、先々の景気の振幅を少なくできる。」と発言したそうです。また、日銀審議委員の水野温氏氏、須田美矢子氏も、今年7月のゼロ金利解除以降から、追加利上げすべしと先触れの論陣をはっていました。

私は、このタイミングの利上げには反対です。確かに、追加利上げして、金利を上げておいた方が、日銀にとっては、金融政策の自由度が増すでしょう。しかし、日本全体の経済をみると今の段階で追加利上げをほのめかすならば、企業や家計の将来への期待が変化し、ただでさえ腰の弱い今の景気は、その勢いを失ってしまう危険性が大きくなります。ちょうど、財務省が、不況期ですら常に財政赤字キャンペーンを張り続けるのと同じことで、「省あって国なし」の典型例です。もうしばらく待てないのでしょうか。それとも、日銀内には世論に反発して自分たちのポジションを守ることに何か特別の意義でも見いだしているのでしょうか?後になって、日銀が追加利上げをおおっぴらにいいだしたのと同じタイミングで景気が下降にむかったということが明らかになったりするのでは、まったくお話しにならないのではないでしょうか。

殷鑑遠からず、現に、2000年8月のゼロ金利解除については、当時、一刻も早くゼロ金利を解除して、つまり金利を上げて、政策的なフリーハンドを得たい日銀が、統計データに基づいてデフレがまだ続いていると反論する政府を押し切って行ったものです。その後、アメリカのITバブルが崩壊したあおりで我が国も景気が悪化し、結局、翌2001年春以降、実質的にゼロ金利を復活せざるを得なくなりました。今回も外需だよりの景気回復です。当時、小泉構造改革のうたい文句を過信して、「よいデフレ論」に陥った観があった日銀ですが、再びこの愚を犯さない確信が現在の日銀にはあるのでしょうか?

深読みをすれば、もう今回の景気回復ももうしばらくすれば終わるから、今金利を引き上げておかないとまた、何年間も金利が据え置きになり、金融政策でフリーハンドが得られないと日銀は判断したのかもしれません。

政府与党内からは反発が出ているようですが、私も、こればかりは政府与党の判断に賛成します。

日本銀行は、1998年の日銀法改正により、中央銀行としての独立性を強めました。これは、中央銀行が、政府や政治家から独立していた方が、インフレ退治を有効に運びやすいということから行われたわけです。それ自体は判ります。しかし、日銀自身の行動が、今のように「行益あって国益なし」であると受け取られる状態が続けば、この日銀法改正は失敗だったと評価せざるを得なくなります

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