日銀金融政策決定会合:利上げ見送りの模様

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日銀金融政策決定会合が18日から通常通り2日間の予定で始まりました。

今回の金融政策決定会合では、米国の低所得者向け高金利型住宅ローン(サブプライムローン)の焦げ付き問題から生じた金融市場の混乱を踏まえて、追加利上げの観測は市場からは既になくなっています。

日銀は、「サブプライム問題が日本の金融システムのリスクになる可能性は低い」と考えており、この見通しについては私も賛成ですが、米国への景気への影響は思った以上に大きくなる可能性は否定できません。この点を踏まえて、米国FRBは18日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、利下げに踏み切る可能性が強くなっています。

問題は、日銀がいつものようにわが道をいかずに、きちんと欧米の中央銀行と共同歩調を取ってくれるかどうかです。この点について、国内外の日銀に対するこのところの姿勢はどうでしょうか。

まず、欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁は、9月6日の記者会見で、サブプライム問題を踏まえて、日銀も「諸情勢を考慮して適切な判断をすると信じる」としています。

さらに国内でも、渡辺喜美金融・行政改革担当相は18日の記者会見で、今回の日銀金融政策決定会合に関して、

  《「いちいち私から金融政策についてのコメントはしない」としたものの「欧州中央銀行(ECB)が利上げを見送ったとか、米連邦準備理事会(FRB)がどうするかなど、アメリカやヨーロッパの中央銀行との連携は当然、考えていると思う」と語った。》
日銀、米欧との連携は当然考えていると思う=金融担当相

とけん制しています。 これだけ言われても、日銀幹部の心中は追加利上げをしたくてうずうずしているのだろうと思います。過去の発言でいえば、例えば、

  《日銀は、(中略)日本経済は引き続き緩やかに拡大するという見通しを崩していない。福井俊彦総裁は先月の会見で国内経済について「むしろ多少前進している」と強調している。》
日銀決定会合、利上げ見送りへ…逆風サブプライム問題

としています。 この判断には異論があります。景気判断については、「むしろ多少前進している」とはまったく思えません。1ヶ月以上前に6月分の景気動向指数について取り上げましたが、7月分のデータを見てみても、景気の量感を表すCIでみれば、先行指数の落ち込みはより明らかになっていますし、一致指数はほぼ横ばい。全体的に見れば、想定の範囲内ではありますがやはり景気は弱含みになっていると考えます。

とはいえ、皮肉でもなんでもなく、景気や雇用を守ることは日銀の政策目的ではありません。そして、日銀の組織の論理だけでいえば、追加利上げは、任期が来年の3月までと迫った福井俊彦総裁と日銀官僚にとって悲願とでもいうべきもの。福井俊彦総裁は、ぜひとも日銀のいう「金利正常化」(つまり追加利上げ)を行い、花道をかざって、後任には日銀からみて望ましい総裁をつけたいと考えていることでしょう。

しかし、それを日本国内の情勢、とりわけ政治情勢は許すでしょうか。

《日銀の福井俊彦総裁の後任人事で、内閣改造後は財務省・日銀に共に深い人脈を持つ与謝野馨官房長官が「人選のキーパーソン」(政府関係者)とみられていた。それだけに新内閣で与謝野氏が官邸を去れば、人事は混迷の度合いを深めると危惧する向きが多い。》「ポスト福井」不透明に・日銀総裁

また、衆参両院の承認事項であり、参議院で一度否決された場合には、再議決はできない日銀総裁人事は民主党が参議院第一党となった今、与党だけが決められるものではなくなりました。民主党は、これまで官僚OBの登用には反対していましたが、民主党の直嶋正行政調会長は12日の発言で、次期日銀総裁について、次のようにやや微妙なニュアンスの発言をしています。

  《「個人的見解だが、市場から信頼されることが第一条件だ。官僚出身(の起用)は民主党として望ましくないと言ってきたが、具体的に日銀総裁としてだめとか個別の話までは詰めていない」》
消費税上げ、まず無駄遣い排除…民主党政調会長に聞く

今後の日銀の金融引締め政策はその人事の行方と絡んできます。その意味でも十分注視していく必要があります。

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