伊勢商工会議所青年部で講演しました

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先日、地元伊勢市の伊勢商工会議所で講演をさせていただきました。

これは伊勢商工会議所青年部(会長 田中清吾さん)からお招きを受け、例会の一環として若手経営者の皆さんに「どうなる日本!どうする日本! 今、なにを考えるか」というテーマでお話しさせていただいたものです。もちろん政治的な立場は抜きにして日頃考えていることを皆さんにお知らせしました。

その内容としては、青山学院での講義などでもいつもお話ししている内容ですが、簡単にまとめますと以下のようになります。

 日本の景気は本当に底を打ったのかだろうか。日本のような輸出依存型の経済には、今回の金融危機の影響は大きかった。確かに、生産調整は、とりあえず終了した。しかし、解雇などで生産調整が行われたため、個人の消費や企業の設備投資が今後どのくらい減少するかという問題が残る。ひと言でいえばこれからが正念場である。 世界経済の動きとしては、1997年アジア金融危機以降、発展途上国での余剰資金が発生。
また、その一環として産油国、貿易黒字国(中国など)などのソブリンウエルスファンド(国家ファンド)が登場した。最大のものはアブダビの約85兆円。その一方で、日本のODAは無力に。我が国の対外影響力が激減した。昨年9月までの我が国は、金融政策の失敗により内需ではなく輸出頼りになってしまっていた。

その後に米国でサブプライムローン問題が明るみに出た。この問題の前後で米国経済はどう変化したのか。米国でのITや住宅バブルの資金的な裏付けは、発展途上国や産油国の資金が流入したことである。サブプライムローン問題が発生し、バブル崩壊。今後は、米国は、借金をしない態勢に変化するだろう。また、米国債のほぼ半分は米国以外で消化されているので、ドルの信認危機の原因となる可能性もある

世界の景気の動向について、欧州は、米国以上に金融危機の影響が強い。EU内でも東欧や非先進国につめあとが残る。中国は、人口増加が引き続くため5%成長を割り込むと、国内で政情不安が起きかねないため、大規模な景気対策を打っている。

これからの日本の景気については、政府の経済見通しは例によって楽観的すぎる。与謝野大臣は「今年中は横ばいで、新年からプラス成長となる。」というが、それでも2009年度政府経済見通しのマイナス3.3%成長は達成は難しい。いずれにせよまだ不況は続いていると考えて経営すべきだ。

地方の企業の経営の環境を考える上で、長引く不況の下、廃業率が開業率を上回り続けていることは政府の政策の失敗を象徴するものだ。米国では、つい最近ガレージから出発した大企業がたくさんあるが日本にはない。

地方企業の敵とは、第一に「シバキ型構造改革主義」である。シュムペーターの『創造的破壊』を意図的に誤解したのか、マスコミや政府日銀によるかつての「よいデフレ」理論やまた特に、日銀の速水優元総裁などの「不況を人為的に緩和することは構造改革の目的に反する」とする議論によれば、「低金利は貸し手の銀行や借り手企業のモラルハザードを引き起こし構造改革を遅らせる」とするが、この手の意見には賛成できない。むしろ、不況こそが大企業などの旧体制に有利である。

第二の敵は、縦割り行政、「省あって国なし」と形容される状況である。日銀は銀行業界のことだけしか考えない。それぞれの官庁は、それぞれの所管行政のことしか考えない。中小企業の景気を考えるのは経済産業省だが、マクロ経済全体に対する影響力はきわめて弱い。不況を打ち破る政策面でのブレイクスルーが必要だが、いったい誰ができるのか?

霞ヶ関官僚の反対がある国に期待できないなら地方に期待するしかない。現在、大阪府・橋下知事など注目を受ける知事、市長が続出している。一方で、夕張市のような破綻(財政再建団体入り)も出た。財政再建団体となっても地方債の返済は義務であるところが、民間企業の倒産とちがう。道州制の導入を含め、地方分権の問題は、地方経済の死活問題に直接かかわってくる。

現代の企業に必要な発想は、まず「景気を先読みする能力」である。2007年春に景気後退が予測できていればどのくらい儲けられたか。想像もつかない。不況期に突入する前に、銀行の貸し渋り対策や買収資金としてキャッシュを持っておくことが重要。また、「不確実性」へのチャレンジのみが利潤を生む。そして、三国志「赤壁の戦い」にみられるように、戦略(フレームワーク)と戦術(ステップ)の峻別を行い、戦略は大胆に、戦術は緻密に進んでいってほしい。そうすれば必ず将来は開けると信じる。

講演のあとの懇親会でもいろいろとお話しをさせていただきました。地元伊勢市の現場の雰囲気、動きを知ることが出来、私にとって得がたい勉強の機会をいただきました。大変にありがとうございました。

また、聞くところによると開催にあたってはいろいろと政治的な軋轢もあったようで、その中でも開催していただいた伊勢商工会議所青年部の事務局の皆さんには心から感謝いたします。(ちなみに、明言しておきますが、自民党さんからの圧力は一切ありませんでした。懐の深さを感じました。)

また、当日の様子をお二人の方がブログ化してくださっています。伊勢市で自動車屋さんと中瀬保険という保険屋さんを経営していらっしゃるなかせかずひとブログ。そして、塗料や看板関係の商品を取り扱っていらっしゃる日新薬品の山本雅也さん。お二人にも感謝!です。どうもありがとうございました。

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