クルーグマン『間違いだらけの日本経済:考え方がダメ』

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ノーベル賞経済学者のポール・クルーグマン・プリンストン大学教授に対するインタビュー記事が、週刊現代2010年8月14日号に「P・クルーグマン『間違いだらけの日本経済:考え方がダメ』」として掲載されています。

最近、クルーグマンが日銀を擁護しているなどと主張をする方々が、現実の経済を見つめる能力のない学者やジャーナリストを中心に存在するようですが、どのような下心をもって行っているのかよく判りませんがそんな暴論を一発で吹き飛ばす内容です。この中から、日本経済に直接関連する部分を取り上げ、コメントを加えます。私が執筆を担当しましたデフレ脱却議員連盟の新しい政策提言の内容の裏付けとしても読んでいただければと思います。

まず日本経済の概況についてですが、

《日本は、アメリカよりも深刻な不況に直面しているということを、理解すべきです。》

として、

《景気回復よりも財政赤字の解消を優先すれば、デフレ・スパイラルを加速させるだけです。だから増税は日本銀行がインフレ・ターゲット(目標として掲げる物価上昇率)を設定して、その効果が見えてきた後で始めればいい。》

とのべ、法人税については、

《今の税率が歳入や景気に悪影響を及ぼしているという確たる証拠がない以上、それほど重要な問題だとは考えていません》

としています。この見方に私は100%賛成です。なお、私が最近は法人税の引き下げに特にこだわっていないことは、私のブログを「法人税」で検索していただければおわかりいただけると思います。

また、

《実は、日本の不況の原因は、マクロ経済学がやるべきだと説いていることを実行しないことにあるのです。》

として、大型の財政刺激策と、「日銀自体にやる気がないので大変難しいことですが」と前置きして、インフレターゲット政策の採用を提言しています。クルーグマンの方が以前から財政政策に力点を置いている点で少々デフレ脱却議連提言と違うのかもしれません。インフレターゲット政策の採用に際しての障害については、クルーグマンは、ハイパーインフレとデフレとの二者択一しか考えられない人々の反対や、日銀自体の反対をあげています。

《自分の組織上の地位や、組織そのものを守ろうとしている。中央銀行の独立性への介入に関しては、もはやあれこれ躊躇すべきではありません。日本のGDPデフレーター(名目GDPを実質GDPで割った値。経済全体の物価動向を示す)は、ここ13年間、下がりっぱなしです。それなのに今、日銀が重い腰を上げないというのなら、(その責任者たる総裁は)銃殺に処すべきです。》

と厳しく批判をしています。ただ我々は中央銀行の独立性とガバナンス強化の手段としてインフレターゲット政策の導入を唱えていますので、そのあたり少々ニュアンスの違いはあるのかな、という気もします。いずれにせよ大きな隔たりはありません。

《緩やかなインフレを拒否し、銀行のバランスシート保護を優先しようとする日銀の考え方は、まったく正気とは思えません。》

わがデフレ脱却議員連盟の新しい政策提言では、銃殺までは提案しておりません(笑)が、説明責任は厳しく求めておりますし、全体としてクルーグマンのお眼鏡にかなうのではないかなと思います。

なお、日本の財政については、

《日本の場合、もし本当にインフレが始まったら、債務の問題の大部分は解決します。》

《自国通貨を有する先進国である以上、先の三国(金子注:米国、日本、英国のこと)はきわめて低利の借款が可能です。財政再建を今の時期、まったく急ぐ必要はない。(中略)だからといって、日銀がデフレを放置することは許されない。》

としております。

結びとして、

《まずは、インフレ・ターゲット政策を実行してデフレの流れを止め、景気を回復させる。その結果で議論の決着を付ければいいのです。》

と、これもまた、私の日頃からの主張と同様の内容になっております。もちろん、景気が中長期的な成長軌道に乗ってからはさまざまな政策をとることも可能になりますが、まずはデフレ脱却が最優先の課題であることは自明であると考えています。

いささか、我田引水な引用だと思われるでしょうか?そう思われる方はぜひ、現在発売中の全文に直接当たってみていただきたいと思います。

我々の政策提言公開とタイミングよく掲載されたこのクルーグマンのインタビューに、私も意を強くしました。ぜひデフレ脱却議員連盟の新しい政策提言とあわせてお読みください。

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