国債整理基金特別会計、日銀外貨資産、銀行券ルールについて質疑

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参議院財政金融委員会で2011年8月9日に、野田佳彦財務大臣、新任の白井さゆり、石田浩二日銀審議委員、白川方明日銀総裁と質疑を行いました。

野田財務大臣には、国債整理基金特別会計から現在繰り上げ償還に使われている資金の残金2兆円を、震災復興財源にすべきではないか、また、民主党代表選に向けての経済政策のあり方として不況下に増税はすべきではないことをお尋ねしました。

白井さゆり、石田浩二の両日銀審議委員に対しては、円高を軽視することなく現実の経済を踏まえて金融政策を展開していただきたいことをお願いし、白川方明日銀総裁に対しては、日銀が現在保有している約5兆円の外貨資産は22年度は円高差損が4810億円も出たことを指摘し、これを震災復興財源にまわすべきではないかと申し上げました。さらに、銀行券ルールについて尋ね、リーマンショック以降は各国とも銀行券ルールなどに拘われていないことを認めさせ、さらに円高対策として日銀のバランスシート拡張のあり方についても議論しました。

今回も、持ち時間30分と短時間であり、いささか消化不良でしたが、今後とも、円高デフレ脱却の実現に全力で取り組んでいきます。


○金子洋一君 おはようございます。民主党の金子洋一でございます。
今日は私、三十分しか時間がございませんので、大変恐縮でございますけれども、御答弁は簡潔にお願いをしたいと存じます。まず、財務大臣にお尋ねを申し上げます。

国債の繰上償還、つまり変動利付国債や物価連動債の買入れ償還につきまして、これは国債整理特別会計の中から支出をされておりまして、本年度は約三兆円、そして既に一兆円が繰上償還に使われたということになっております。ただし、この特別会計は元々原資が借金であるということでありまして、言わば国債の発行で国債を償還をするというものになっておりますので、国債の需給に対してはこれは中立であるという性質を持っておりますので、国債管理政策としての効果は限定をされていると考えております。
ですから、この非常な状態でございますので、今、二兆円分今年度の割当てが残っております。この二兆円分を復興財源に回していただきたいと思っておりますが、御所見はいかがでしょうか。

○国務大臣(野田佳彦君) 金子委員のお尋ねにお答えをしたいと思います。
国債整理基金残高による買入れ消却は、国債償還の資金に充てるという基金の本来の目的に沿ったものであり、委員御指摘のとおり、平成二十三年度において総額三兆円程度行うこととなっておりまして、これも委員御指摘のとおり、既に約一兆円実施をしているところでございます。

復興財源に活用すべきという御主張についての私の見解でございますが、幾つかの観点から検討しなければいけないということがあると思います。

それは、市場からの信認を損なうおそれがあるかどうか、これはよく慎重に検討しなければなりません。加えて、流用に伴い買入れ消却を停止すると、もうマーケットによっては織り込み済みのところもございますので、そうしたところに不測の影響を与えかねないのではないか、こういう観点からの議論をしなければいけないと思いますけれども、復興財源について、政府税調ではいわゆる税制措置をどうとるかという議論を始めます、これから。この間キックオフが始まったんですが。一方、党内で、城島光力座長の下で、それ以外の、例えば歳出削減であるとか税外収入の確保であるとか、様々な観点から何が財源として確保できるかという御議論をいただいています。その中に特会という項目があって、この国債整理基金についても、委員も大変強く御主張されていると承知しておりますけれども、今そういう党内の議論なども踏まえて対応させていただきたいというふうに思います。

○金子洋一君 国債の信認、大変重要なことでありますけれども、現時点で十年物の長期国債が大体一・〇%程度で取引をされております。大変高い値段であるということを是非とも前提に置いてお考えをいただきたいと思っております。

さらに、財務大臣に、これは通告を申し上げていないんですが、昨日、新聞報道などを見てまいりますと、今後の民主党の代表選に向けて決意を固められたという報道がございます。そして、経済政策では財政の規律の維持、そして対外政策では日米関係の重視ということで承りました。

日米関係の重視につきましては全く異存はございませんけれども、財政規律の問題です。私は、財政規律、財政規律といいながら景気の悪いときに増税をすべきではない、なぜならば、増税をしても税収が伸びるとは限らないというのがこれまでの歴史の教訓であると私は考えております。その点を考えますと、私これまでも野田財務大臣を尊敬申し上げてまいりましたけれども、万が一不景気の下で増税を行うというようなことをおっしゃるのであれば、今後御支持申し上げるかどうかということはちょっと考えなければならないなと思っておるんですが、増税、財政再建の在り方とそして景気の問題につきまして一言御所見をいただければと思います。

○国務大臣(野田佳彦君) 今、ちょっと一定の前提に立った御質問だと思いますけれども、確かに、日本の今の財政であるとかあるいは電力の問題を含めて、あるいは円高の問題を含めて、いかに産業の空洞化を回避するかとか、あるいは外交・安保関係のいわゆる基本的な考え方を考えた文章を寄稿をしたということは事実でありますけれども、具体的に代表選云々という言及をしている文章ではございませんので、そこは前提は違うということで、あくまで、こういう今厳しい状況ですので、私は菅内閣の一員として職責を果たすということが基本であることを御理解をいただきたいと思います。

その上で、お尋ねでございますけれども、あの大きな震災があって、そのことによってむしろ国際社会は日本がしっかり立ち直ってほしいという思いを持つとともに、一方で、財政の規律はどう守っていくのかと。今、欧州でも米国でも債務の問題が大きな問題になっています。ですから、日本にとってもそういう注目が集まっているという中で、きちっと財政規律は守っていく国なんだということをしっかりとメッセージとして打ち出し、取り組んでいくことは私は肝要だと思います。

一方で、仮に増税をする場合には、もちろん景気動向をよく勘案しながら対応するというのはこれは基本だというふうに思います。

○金子洋一君 ありがとうございました。
クルーグマンに言わせますと、米国もEUも非常に財政緊縮の方向に向かっていて、言わば小恐慌だと、小さな恐慌状態にあると言っております。我が国が更に財政引締めに陥って小恐慌が中恐慌になり大恐慌にならないように、是非ともかじ取りをよろしくお願い申し上げたいと思います。

それでは、次に日銀の皆様にお尋ねをしたいと存じます。今日は大変お忙しいところ、白井審議委員、石田審議委員、今年度になられて御就任いただいたお二方にもおいでをいただきまして、ちょっとお尋ねをさせていただきたいと存じます。

まず、白井審議委員にお尋ねを申し上げます。

昨年、これは審議委員に御就任の前の論文ですので恐縮なんですけれども、昨年の週刊エコノミストの十月二十六日号の掲載の論文で、政府、日銀による昨年九月十五日の為替介入は、これは文中にある表現なんですが、為替相場への影響は限定的だというふうに書かれておられます。これは、非不胎化介入となった場合にも相場への影響は限定的だとお考えでしょうか。

○参考人(白井さゆり君) 御質問にお答えいたします。
まずその前に、その論文を書いた趣旨を申し上げたいと思います。

当時、去年の十月ですけれども、その当時は、円高というのが非常に日本で心配されていた、その一方で、海外の中には日本の円という為替相場が日本経済のファンダメンタルズから見て大きくずれていないという見解も幾つかあった。そこで、その論文ではその背景にあるマクロ経済的なアプローチというものを御紹介いたしました。その上で、もし日本の為替相場が中長期的に見てファンダメンタルズから大きくずれていないと仮定するのであれば、円為替介入というのは、一定の水準に上げる下げるというよりも過度な為替相場の変動あるいは無秩序な変動があるときにより効果があるというようなことを意識して執筆いたしました。ですので、そのときには御質問のような不胎化、非不胎化ということを特段意識して書いたわけではございません。

その上で、その非不胎化、不胎化についてお答えいたします。

確かに、学界や理論上では、円為替介入というのは日銀の当座預金を増やします。ですから、全ての条件が一定の下でもし日本銀行がそれを吸収しなければ金融緩和と同じ効果を持つと、そのことに関してはその見解があるということは私も承知しております。
しかし、私が主張したいことは、日本銀行はかねてより包括的金融緩和政策というのをやっておりまして、大量に金融市場に資金を出しているんですね。その円為替介入によって市場に放出された追加的な資金というのは、そういう膨大な金融市場の資金の中の一部なわけです。私たちは、それも生かしながら大量に出す、資金を出していくというスタンスを今後も維持していきます、事実上のゼロ金利政策を取っていますので。ですので、その中で、そういう緩和的なスタンスを維持している中で不胎化か非不胎化かということだけを見るというのは、識別するのは難しいというふうに思います。

とはいえ、今後もそういう為替資金によって生み出されたマネーも、資金も生かしながら、潤沢な資金を金融市場に出していくつもりでございます。

○金子洋一君 ありがとうございました。
ただ、不胎化でも非不胎化でもレートに影響する度合いはさほど変わらない、本質的に大きな問題じゃないんだというようなお話、御答弁だったかと承るんですが、果たしてそうでしょうか。本当に非不胎化の場合でも不胎化の場合でもそのレートに与える影響というのはないと考えてもよろしいんでしょうか。

仮にそうだとすれば、非不胎化した形の介入でも不胎化の介入でも市場の主体に与える期待の変化、それが変わらないということをそれはおっしゃっているんだと思いますから、そうなりますと、世間でのマーケットの常識と随分と乖離をしてくるんじゃないかなと思いますし、その辺り、マーケットとの対話という意味では、今おっしゃった内容というのはいささか理解できないなと私個人は思っております。

続きまして、また白井審議委員にお尋ねを申し上げます。

同じ論文の中で、世界最大の純対外資産を持ち、経常収支が黒字である日本では現在の円高は国際価格競争力を大きく失わせていないという表現がございました。この経常収支の黒字はデフレ不況が原因で我が国の国内の経済が過少消費に陥ったことが原因であるということは、これは明らかであろうと思います。同時に、このデフレ不況が原因で企業の収益が落ち、そして失業者が増えた状態であります。そういう状態で輸出が僅かでも減少すれば、企業収益にもあるいは労働者にも大きな悪影響をもたらす、これは明白だと思います。

こういう状況でも国際価格競争力を失っていないというふうにお考えなんでしょうか。

○参考人(白井さゆり君) 御質問にお答えします。
まず、先ほどのことを一言だけ申し上げますと、私はその不胎化、非不胎化について否定しているわけではなくて、私たち日本銀行は大量に日々資金供給をするときに、その資金も生かしながらやっているということを申し上げます。

その上で二つ目の質問にお答えいたしますけれども、私がそこで申したのは、確かに日本はすごく円高です。その円高にもかかわらず、長い間、日々の変動はありますけれども、経常収支の黒字を維持し、世界最大の純対外資産国として長い間維持しているという事実が日本経済が国際競争力を持っているということを申し上げただけです。これはあくまでもマクロ経済的な見方で、そこにはやっぱりミクロ的な見方が大事で、その背景には、企業が物すごく努力して、リストラもやり、新しい商品開発もし、生産拠点を分散し、様々な努力をした結果だというふうに理解しています。

私が申し上げたいのは、私は円の過度な円高というものは大変心配しております。といいますのは、今は震災後にようやくサプライチェーンの寸断から立ち直ってきているわけですね。企業の生産が増えている。ようやく企業マインドが改善している中で、アメリカ、欧州を発端にして起きた急激な円高が企業に大変な負担をもたらしている。それがその企業のマインドを低下させ、ひいては設備投資、生産、輸出にまで影響してしまうかもしれない。そういう懸念があるからこそ、先週の八月の四日に金融政策決定会合で追加的な緩和を決めたわけです。ですから、その為替変動がもたらす実物経済への影響というのは大変心配しております。

○金子洋一君 非不胎化の効果については否定をされておらないということで安心をいたしました。また、今のお答えをちょうだいいたしましたけれども、これは学問の世界においでの方、あるいはこれは役所もそうですけれども、やはり現場の中小企業の、特にそういった方々の努力というのは分からない傾向にございます。ですから、そういった皆さんの声なき声を是非ともすくい上げていただきたいなと思っておりますので、その点、今後ともよろしくお願いします。

続きまして、石田審議委員にお尋ねを申し上げます。

復興財源につきまして、先月の山本幸三衆議院議員への答弁で、市中消化ができるのであれば、日銀消化、日銀引受けをすべきではないというふうに御答弁をなさっておられます。

そこでお尋ねをいたしますけれども、ほかの条件が一定だとする場合に、単に市中消化だけをした場合に、一体何が起こるとお考えでしょうか。

○参考人(石田浩二君) お答えいたします。
市中消化をする、すなわち新たに債券を市中で発行いたしますと資金需要が起こるわけでございますから、限界的には金利の上への上昇圧力が発生するということになりますが、現実には、これだけ大きな国で、かつ貯蓄の超過が非常に大きい、それが銀行部門にも大変滞留しているという中で、今現実に大量の国債が非常に低いレートで高値で吸収され、問題なく発行、流通されているということでございますので、こういう条件が続きますこと、すなわち我々の財政の規律が維持されるというような前提を基に、今後発行される分についても円滑に吸収されていくというふうに考えております。

○金子洋一君 何となくお尋ねに直接お答えいただいていない気がするんですが、まあちらっとおっしゃいましたけれども、市中消化をした場合に金利が上昇するということをおっしゃったんだなと受け止めさせていただきます。

金利が上昇しますと、これは当然米国と日本の金利差が小さくなるわけですから、円高の方向に振れると思います。そうなりますと、先ほど白井審議委員にお尋ねをいたしましたけれども、非不胎化介入、つまり金融緩和の方向に持っていかないと円安の方向に持っていけないんだろうというふうに思います。

ですから、今申し上げたことは、石田審議委員にも是非ともそういった現場の皆さんの苦労を引き受けていただいて、特に石田審議委員、民間企業の御出身でいらっしゃいますので、そういった方々の声をきちんと日本銀行での議論につなぎ合わせていただきたいなと思っておりますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。

両審議委員、もし委員長の御許可が得られれば御退席していただいても結構です。

○委員長(藤田幸久君) それでは、白井審議委員及び石田審議委員、どうぞ御退席ください。

○金子洋一君 それでは、日銀総裁にお尋ねを申し上げたいと思います。
これは前回の附帯決議でもございましたけれども、外貨資産の問題でございます。

外貨資産の在り方について、日本銀行の外貨資産の在り方について検討をしていただくということで附帯決議が付いたわけでございますが、約五兆円という外貨資産を持っておられます。これは日銀の埋蔵金とでもいうんでしょうか、そういったものであると私は考えておりますけれども、これがほとんど活用をされていない。それにもかかわらず、円高が原因で昨年度は、二十二年度は四千八百十億円もの為替差損を出しておるわけであります。

これは全額処分をしていただいて震災復興の財源とすべきであると私は考えておりますが、総裁の御所見を伺いたいと思います。簡潔にお願いいたします。

○参考人(白川方明君) お答えします。
先進国の中央銀行はどの中央銀行も外貨資産を保有しておりますけれども、日本銀行も、日銀法第四十条又は四十二条に基づく国際金融協力の実施等に備えるために外貨資産を保有しております。

日本銀行の外貨資産は、様々なケースを想定しましてこれを活用している、あるいは活用することが想定されております。

これまでにも、海外における通貨危機のようなケースにおきまして、国際金融支援その他の国際金融面での協力の観点から、他の中央銀行と協調しながら信用供与などを行っております。また、万が一、日本の金融機関が外貨流動性不足に直面した場合には、緊急時の対応として、日本銀行が保有する外貨資産を活用しまして外貨供給を行うケースもあり得るというふうに考えております。

サブプライムローン問題以降の国際金融危機を振り返ってみてもそうでございますけれども、これはアメリカのみならず、どこの主要国、どの国もそうでしたけれども、金融機関が、自国通貨もさることながら、ドル資金、外貨資金での流動性不足、資金繰り困難という事態に直面しました。そういう事態に備えていろんな手当てを講じておりますけれども、その手段の一つとして、各国の中央銀行がそれぞれ自国の金融機関の外貨の不足にも対応し得るという体制を整えておくということは、これは実際に活用があるなしにかかわらず、これは日本経済にとって大きな意味のあることだというふうに考えております。

いずれにしましても、日本銀行としましては、日本銀行が外貨資産を保有する必要性も念頭に置きつつ、先般の附帯決議を踏まえまして、外貨資産の保有及びリスク管理の在り方について真摯に検討を行ってまいりたいというふうに考えております。

○金子洋一君 物事には、メリット、デメリットを考えませんと実現ができないわけでありまして、昨年度、二十二年度だけで四千八百十億円の為替差損が生じている。そして、FRBとのドルと円のスワップ協定があることを前提とすれば、果たして一年間に四千八百十億円もの為替差損を払いながらそれだけ膨大な外貨資産を日本銀行がお持ちになる必要があるのかということになりますと、これはどう考えてもないと思いますので、そこのところは厳密にお考えをいただいて、必要であれば与党内に日銀仕分でも立ち上げて取り組んでいかなければならないと私は考えます。

続きまして、時間も残り少なくなってまいりました、総裁に引き続きお尋ねをいたしたいと思います。

為替介入につきましてですが、決定会合で基金の増額をなさったということでありますけれども、まずこの件につきまして、米、英、EUなどで、日本銀行で言うところの銀行券ルールというものに相当するルールを持っている中央銀行はあるんでしょうか。そしてまた、あるんでしたら、その詳細を教えていただきたいと思います。

○参考人(雨宮正佳君) お答え申し上げます。
今お尋ねのございました銀行券と長期国債の保有を対応させるという考え方の基本的な考え方を申し上げますと、銀行券は中央銀行にとりまして長期固定的な負債でございますので、その負債に見合うように長期固定的な資産を保有し対応させるという考え方自体は世界の中央銀行共通の考え方でございます。

具体的に申し上げますと、短く申し上げますと、ヨーロッパの中央銀行、ECBは元々固定的な資産として金や外貨資産を多く保有してございますので、そもそも国債を余り買ってございません。最近になりまして、ソブリンリスク問題がある下で、金融政策の波及経路を修復するために買い始めたという段階でございます。

一方、米国のフェデラル・リザーブでございますけれども、これは以前から、国債の買入れは人々の銀行券需要の増加に対応するものと位置付けまして、銀行券発行高の増加におおむね見合うように国債の保有残高を調整してございますし、イングランド銀行、英国のBOEにつきましても、この債券買入れの導入、二〇〇六年でございますけれども、やはり銀行券発行高に応じて調整していくということを基本的な考え方としてございます。このように、米国、英国共に、日本銀行の銀行券ルールと同様の考え方を取っていたということでございます。

ただし、リーマン・ショック以降、これはアメリカ、FRBも臨時異例の措置として長期証券の保有残高を増やしておりまして、銀行券残高を上回る措置を講じておりますし、英国も同様でございます。

この点は日本銀行も同様でございまして、昨年導入いたしました包括的な金融緩和の一環としての資産買入れ等の基金を通じまして新たに長期国債の買入れを実行してございますけれども、この長期国債の買入れにつきましては銀行券ルールの適用対象外としているということでございますので、繰り返しになりますが、銀行券と国債を見合わせるという考え方は海外も共通であるということと、金融危機後、対応しないような長期資産保有も行っているという二点において考え方は共通しているというふうに考えてございます。

以上でございます。

○金子洋一君 まず一点、銀行券ルール、今最後のお答えにありました銀行券ルール以外の分も長期国債を購入しておられるということなんですが、じゃ、その残高がどのくらいかと申しますと、これ一・三兆円にすぎないんですね。銀行券ルールというのは八十兆円を上限にということでありますので、一・三兆円分出しましたと、しかも合計をしても六十一兆円、六十二兆円にすぎません。あと十八兆円、銀行券ルールの天井まであるわけです。そうなりますと、銀行券ルールを見直したとおっしゃるその表現はいささか羊頭狗肉の類いではないかと私は思います。

さらにもう一点ですが、まさにそのリーマン・ショックの後の対応を我々は日本銀行にも求めているわけです。米国もそしてイギリスも、リーマン・ショック後にどおんとバランスシートを拡大をした。それを我が国はやっていないから、先ほどお話を申し上げましたけれども、円高が大変急速に進む。だから、それを我が国でもやりましょうと。これは、この財金委員会の中でも同僚議員が何回も何回も日本銀行に対してお尋ねをしているところです。

どうしてそれをやっていただけないのか。バランスシートを拡大をして、それでもし弊害があったとすれば、それは我々がやってくださいとお願いをしたんですから、政治の責任になるわけです。今のままですと、バランスシート拡大しません、しませんということになりますと、この十三年、日銀法改正以降ずっと続いているデフレ、これは日本銀行の完全に責任ですよと言われても、これは答えられないんじゃないかと思います。

バランスシートを是非拡大すべきだと思いますが、この点について簡潔に御所見をお願いします。

○参考人(白川方明君) 簡潔にということで申し上げますと、日本銀行は極めて潤沢に資金を供給しております。

その上で、少し簡潔でない部分になってまいりますけれども、日本銀行は、今議員が御指摘のリーマン・ショックが起こる以前から、リーマン・ショック後にほかの中央銀行が展開したのと同じような規模の金融緩和を既に実行しておりました。つまり、リーマン・ショックの前からそれだけの潤沢な資金供給を行い、さらに、この数年間の変化という面でも、日本銀行は潤沢な資金供給に努めております。

先般、包括的な金融緩和の下で、更に基金の総額を四十兆円から五十兆円に増額していまして、これは着実に潤沢な資金供給にも努めておるところでございます。

○金子洋一君 そろそろ時間がなくなってまいりましたので一言申し上げますけれども、総裁の今のお話、GDP比で大きいんだというようなお話をいただいておりますけれども、それは貨幣の流通速度を無視すればそういうことになる。つまり、日本というのはデフレで、資金の巡りが悪いわけです。資金の巡りが元々悪いところに、いや、それはほかの国よりは資金たくさん出していますといっても、それは全然説明にも何もなっていません。変化率で見なきゃ駄目です。二〇〇八年の九月以前と比較をしてどれだけバランスシートを拡大させたのかと、その変化率が我が国は全く劣っているし、ですから緊急時に有事の対応ができていないということになるわけです。

どうかその点をお考えをいただきたいということを強調させていただきまして、私からの質疑は終了させていただきます。

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