復興財源は国債整理基金特別会計でまかなえ

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8月9日(火)に参議院財政金融委員会で質問に立ちました。持ち時間は30分。平成21(2009)年10月の初当選以来、財金委員会での質問はこれで4回目になります。野田佳彦財務大臣、日本銀行の白川方明総裁のほか、新任の日銀審議委員お二人に対して、震災復興の財源問題や円高対策などについて、見解を質しました。今回のメールマガジンでは、若干の解説を加えながら、ポイントをご紹介いたします。

野田財務大臣にはまず、震災からの復興財源を増税に頼らないためにも、国債整理基金特別会計のお金を充当できないか、と問いました。国債整理基金特別会計は国債の償還や利払いを行うためのもので、本来の目的である国債の60年償還のための資金の蓄積の他、変動利付国債や物価連動国債を年限よりも繰り上げて償還するための財源として、毎年、数兆円程度の額が割り当てられています。23年度は総額約3兆円です。既に1兆円が使われてしまっているので、残りの2兆円を復興財源に回したらどうか、というのが私の提案です。

もともと、この特別会計の原資は国債発行による収入ですから、国債を発行して新たに借金をした財源で、変動利付国債や物価連動国債などの別の国債の償還に当てているに過ぎません。本来、国債管理政策としての有効性には限りがあり、急いで行わなければならない政策ではありません。つまり、不要不急の支出を震災復興の財源に振り替えようという提案です。

しかし、野田財務大臣の答弁は、「(国債が)市場からの信認を損なうおそれがあるかどうか、慎重に検討しなくてはならない」などと、毎度、財務省や日銀の役人が使う論理を繰り返された消極的なものだったことが残念でした。

ちょうど、「野田氏、民主党代表選に出馬へ」との新聞報道が出たばかりで、財政規律を重視するとして増税も排除しない考えを表明している野田大臣ですので、「不景気の下で増税を行うとおっしゃるなら、(代表選で)ご支持申し上げられるかどうか、ちょっと考えなければならない」と、少し脱線気味な表現かとは思いましたが、はっきりとそうお伝えしました。質疑が行われている第三委員会室からは笑い声。当の野田大臣はいつものポーカーフェースで通しておられましたが。

日銀の白川総裁には、2点について問いました。

一つ目は、日銀が保有している約5兆円の外貨資産の問題です。これがほとんど活用されていないうえ、円高が原因で昨年度(22年度)は4810億円もの為替差損を出しているのです。今年もおそらく数千億円の単位での損を出すことは誰の目にも明らかです。私は、円高で失われてしまうなら、この5兆円を全額処分して震災復興の財源にすべきだと考えており、総裁に見解を求めました。総裁からは、国際金融支援や日本の金融機関が外貨流動性不足に陥った時の緊急対応などを理由に、否定的な回答があっただけでした。

5兆円もの資金が、理由もなく外貨で保有され、昨年度は5千億円弱、そして今年も現時点で2千億円以上の評価損を出していると推測できるのです。しかも今後さらなる円高が予想されています。このような大きなムダを許しておいてよいのでしょうか?

二つ目は、円高に関するものです。米国の債務上限引き上げ問題を機に、危機的な円高状況が続いています。こうした情勢を受け、日銀は今月4日に金融政策決定会合を開催し、国債やリスク資産などを買い入れる基金を10兆円増額し、総額50兆円とする追加金融緩和を行ったのは、皆さんもご存知かと思います。しかし、私から見れば、これは名ばかりの緩和策です。

10兆円の積み増しとはいっても、日銀も明言しているように来年末までに実現するに過ぎませんし、金融政策の王道である長期国債の買い取り枠は現行の2兆円からわずかに4兆円となるに過ぎません。もちろん金利低下への影響はありますが、あまりにも取り組みとしてお粗末です。

現在の円高は、根本には日本がリーマンショック以降の国際的なお札の増し刷り競争に負けてきていることがあります。各国が、通貨ダンピングだと非難を受けない方法である、中央銀行の金融緩和による自国通貨安を通じて、輸出を増やす戦術に出ているのです。ところが、国内の産業に配慮しない日銀は、法的、経済学的にはなんら根拠のない「自らが引き受ける長期国債の総額を日本銀行券の流通残高以下に収めるルール」(銀行券ルールもしくは日銀券ルール)を一方的に金科玉条のごとく取り扱い、金融緩和をしません。

日銀が設定している銀行券ルールでの長期国債の保有残高の上限は日銀券の総発行残高である約80兆円です。日銀は今、約62兆円の長期国債を引き受けていますが、銀行券ルールの上限までは、まだ18兆円もあるのです。これ以上の円高を防ぐためには、長期国債の買い切りオペレーションを中心に、銀行券ルールにはとらわれることなく、ルールを超えてでも大規模な量的金融緩和策を打ち出すべきでしょう。言い方を変えれば、日銀のバランスシート(貸借対照表)を拡大する必要があるのです。

私からは、上記のような指摘をさせていただいたのですが、白川総裁は「日本銀行は潤沢な資金供給に努めている」の一点張りで、議論はかみ合いませんでした。

日銀は、金融システムが不安定になりそうになると迅速に対応しますが、それ以外の国内産業が不況にあえいでいてもきわめて緩慢にしか反応しません。これは例えば米国の中央銀行にあたるFRBとはまったく違う点です。米国では、景気悪化に対応するのは第一に中央銀行の仕事です。これまで日銀がやるべき仕事をやってこなかったことが、十年以上続いているデフレの最大の原因だと私は考えています。円高の克服は、日銀が多くの資産をマーケットから購入することによって直ぐにでも可能です。なぜそれをしないのでしょうか。日銀にいわせると「物価が上がるから」というのですが、このデフレの最中に物価上昇を恐れても仕方がありません。

今、我々は韓国、台湾、中華人民共和国といったアジアの新興国と競争しなければなりません。韓国などは、人為的にウォン安政策を進め、輸出を増やしています。韓国は、EUと自由貿易協定を結び、液晶テレビなどの関税を撤廃し、10%、時には20%以上にものぼる関税を課せられている日本製品は欧州で急速に価格的な競争力を失ってきております。

円高とデフレの克服の問題については、党派を越えて考えを同じくする議員の方々も大勢おられます。そうした方々と手を携えて日本の金融政策を良い方向に導くのが政治の役割だと改めて実感しています。今後も、どうぞご支援ください。

(メールマガジン平成23年8月18日号より)

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