歯科口腔保健法成立
あちこちの町内会の公園や広場で、盆踊りの賑やかな人の輪を多く見かける時期になりました。日本の夏の風物詩ともいえる盆踊りですが、地域社会の絆を強めるうえでも大切な行事だと思います。みなさんのお住まいの地域ではいかがでしょうか。
さて、今週のメールマガジンは前回までと多少趣を変えて、歯の健康をめぐる国会の動きをご紹介します。
今月2日、国会で「歯科口腔保健の推進に関する法律」(歯科口腔保健推進法)が全会一致で可決、成立しました。民主党の同僚参議院議員・西村まさみさんら与野党の歯科医師出身議員6名が中心となって作成した法律です。過去3回審議未了で廃案となっていただけに、大きな進展といえましょう。
実は、私は小学2年生の時に「虫歯ゼロ」を称える表彰状を校長先生からもらったことがあり、この実績が評価されてか(!?)、民主党歯科医療議員連盟(会長・小沢鋭仁元環境大臣)にも加えていただき、この法律の成立に向けて、議論に参加させていただきました。ちなみに、私のこれまでの生涯で表彰状をもらったのは、この一回きりです(ホントです)。
法律の内容は、口腔の健康が「質の高い生活を営む上で重要」と指摘したうえで、虫歯や歯周病等の予防措置を前面に打ち出し、歯科医療関係者はもちろんのこと、国民、国、自治体を挙げてオールジャパンで取り組もうというものです。
歯の本数が少なかったり、噛み合わせが悪いと、肩が凝ったり、頭痛を起こしたりします。噛むことで、脳が刺激され認知症の予防につながる例も報告されています。さらに、最近の研究では、バランス能力や俊敏性、視覚、聴覚も口腔の健康と密接に関係していることが分かっているそうです。
日本歯科医師会と厚生労働省では、「80歳になっても20本以上自分の歯を保とう」という「8020運動」を平成元年から提唱しています。親知らずを除く28本 の歯のうち、20本以上自分の歯があれば、 ほとんどの食物を噛みくだくことができ、体全体の健康にも大変良いのだそうです。
「歯科口腔保健の推進に関する法律」には主に次のような項目が盛られています。
○国と自治体は国民が定期的に歯科検診を受けることを勧奨すること(第8条)
○国と自治体は障がい者や介護を要する高齢者等が定期的に歯科検診・治療を受けられる施策を講じること(第9条)
○国と自治体は、口腔の健康に関する実態調査や口腔の状態が全身の健康に及ぼす影響の研究、歯科疾患の予防と医療に関する研究を推進すること(第11条)
○厚生労働大臣は施策実施のための方針、目標、計画等の基本的事項を定めること(第12条)
今後、国民全体で歯科検診への意識が高まるでしょうし、寝たきりの方々への訪問検診や治療の環境が整備されることにもなるでしょう。歯科医療に対する客観的データも蓄積され、私達みんなの健康増進に役立つはずです。
歯科医の先生方は日ごろから地域社会に大きな貢献をされています。今回の東日本大震災でも、大勢のボランティアの歯科医師の方々が被災地に入られ、避難所で暮らす方々の口腔ケアに取り組まれています。ある先生から伺った話ですが、十分な水もない中で、口の中が汚れ、雑菌が混じった痰が肺の中に入って誤嚥性肺炎になりかけたお年寄りも少なくなかったそうです。また、ご遺体の歯型や治療痕から身元を確認するなどの辛い仕事をボランティアでされている方もおられます。大変にありがたいことだと思います。
今回の法律は、これからの歯科医療のあるべき方向性を示していますが、何よりも、私達が何歳になっても自分の歯で食べ物をおいしくいただけ、健康でいられる礎の法律として大きな意味があると考えています。私も微力ではありますが、成立のお手伝いができたことに充実感を感じています。



