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2010年10月25日       

白川方明日銀総裁への質疑3

 先日、質問要旨を載せましたが、参議院財政金融委員会で金融政策に関して白川方明日銀総裁に質問しました。その議事録をあくまでも金子事務所作成の暫定版ですがアップします。解説については後日書きます。

 インターネットでもこの質疑をご覧いただけます。参議院インターネット審議中継から「2010年10月21日」、「財政金融委員会」、「金子洋一」をお選びください。

白川方明日銀総裁への質疑1
白川方明日銀総裁への質疑2




○金子洋一君 まさにその包括的な金融緩和政策の中で、ある文言についてお尋ねをしたいと思うんですが、「『中長期的な物価安定の理解』に基づき、物価の安定が展望できる情勢になったと判断するまで、実質ゼロ金利政策を継続」という表現がこの(2)の中にございます。大変いい、これは(民主党の)財(政)金(融)の部門会議の中では日本銀行の方がこれはコミットメントをしたんだという御説明をいただきましたけれども、これまでの金融緩和の中で、こうした「その安定が展望できる状態になった云々」というような類似の表現はなかったでしょうか。そして、そのときにはどのような結果になったんでしょうか。そして、その政策判断の評価についてもお尋ねをしたいと思います。

○参考人(白川方明君) お答えをいたします。
 委員が御指摘のとおり、日本銀行は今回を含めまして三回、今コミットメントという言葉を使われましたけれども、そうした時間軸政策を採用いたしました。

 一回目は、一九九九年から二〇〇〇年に実施しましたいわゆるゼロ金利政策ということでございます。当時はデフレ懸念の払拭が展望できるまでこうした政策を続けますということを発表いたしました。

 二回目は、二〇〇一年三月から実施しましたいわゆる量的緩和政策の時期でございまして、このときは消費者物価指数、除く生鮮食品のベースで見て前年比上昇率が安定的にゼロ%以上となるまでこの政策を続けますということをコミットする、約束をしたということでございます。

 それで今回三回目ということで、先ほど委員がおっしゃった政策を発表いたしました。

 こうしたいわゆる時間軸政策の評価、特に学問的な評価ということについてはいろんな研究者が行っておりますけれども、そうした研究の成果と、それから私どもの金融政策決定会合での議論、これを総合しまして私なりの評価をいたしますと、この時間軸政策が一番効果を発揮するのは、景気が本格的に良くなっていくというときに、この約束があることによって現在の低金利がまだ続くということが最後背中を押していくわけでございます。

 今、これは日本銀行もそうですし、ほかの先進国もそうですけれども、景気の状況、これは力強さが今ないわけでございます。回復はしていますけれども、緩やかな回復でございます。そういうときに現在の低金利が続くということは、これはある意味で、みんなそういう金利が続くんだろうなというふうに思っているわけでございます。そういう意味で、この効果に関する評価という意味では、景気がこの後持ち上がっていくときに、その段階でより大きな効果が発揮されるものだというふうに理解をしております。

○金子洋一君 ありがとうございました。
 ゼロ金利のときと量的緩和のときだということでありますけれども、ちょっと私のお尋ねの仕方が悪かったのか、そこから脱出をするときの、言わば出口戦略を取ったときのタイミングと、その結果がどうだったのかということをお尋ねをしようと思ったんですが。

 例えばゼロ金利政策のときでしたら、「デフレ懸念の払拭ということが展望できる情勢になるまで」という速水総裁の御発言があって、実際にゼロ金利政策から離脱をしましたのが、これが二〇〇〇年の八月になりますが、では、その二〇〇〇年の八月にはデフレ懸念の払拭ということが展望できるようになっていたんでしょうか。その点についてお答えいただきたいと思います。

○参考人(白川方明君) 金融政策決定会合では、その時点その時点で利用できる情報、これを基に将来を予測し、政策を行っているということでございます。その時点でデフレ懸念の払拭ということが展望できるというふうに判断をしてゼロ金利政策を解除したというふうに理解をしております。

 もちろん、経済のその後の展開ということは、これはこのときに限らず、いつも新しい情報が入ってまいります。あのときでいきますと、世界的なITバブルが崩壊をし、その結果、世界経済全体として、もっとその後は非常に厳しい状況になったということは、そのとおりでございます。この点につきまして、これは当時、日本銀行に限らず、欧州中央銀行、FRBも共に、世界の重立った中央銀行はいずれもそうした世界経済の落ち込みということをその夏の時点で織り込んだわけではなかったということはそのとおりでございます。

 私としましては、過去のいろんな政策、いろんな政策の判断、それからその後の経済の推移、そうしたことをそれぞれ自分なりに反省の材料にもし、将来に生かす材料として、今度のこの政策についてもまた生かしていきたいというふうに思っております。

○金子洋一君 済みません、やや抽象的なお答えなんですが、じゃ具体的にお尋ねをいたしますけれども、その二〇〇〇年の八月の時点で、消費者物価指数の動きを見て、それは継続的にプラスになっておりましたでしょうか

○参考人(白川方明君) 金融政策の効果、これが発揮されるのは、これは一年半あるいは二年、場合によってはもっと長いというのが、これは一般的な理解であります。

 つまり、金融政策の効果波及は時間が掛かると。つまり、その時点での物価上昇率、それだけで判断するとこれは金融政策を誤るというのが、これが教訓でございます。直接の御質問に対するお答えではないかもしれませんけれども、例えばバブルのときもそうですけれども、いろんな金融危機のときに足下の物価上昇率、これは非常に安定している、しかしそれが二年たち三年たつと非常に大きな不均衡をもたらすと。

 そういう意味では、この時点でのポイントはデフレ懸念の払拭が展望できるかどうかという判断であったというふうに理解、認識しております。

 その時点ではデフレ懸念の払拭が展望できるというふうに判断したというふうに認識しております。

○金子洋一君 今のお答えを日本語として解釈をさせていただきますと、もちろん御存じのように、二〇〇〇年の八月の時点では消費者物価指数は継続的に前年同月比でマイナスを続けておりましたことは、総裁、よく御案内のことだと思います。前年同月比でマイナスをずっと続けていたにもかかわらず、しかも物価の安定ということが日銀の最大の政策の目的であるのにもかかわらず、その時点でデフレ懸念の払拭が展望できたとおっしゃっているわけですね。

○参考人(白川方明君) 繰り返しになりますけれども、物価が経済に対する、景気に対する、これは全体に遅れて反応する、そういう指標でございます。したがって、物価の将来を見通していくというときには、例えば設備の稼働率がどうか、あるいは雇用情勢がどうか、そうしたことを総合的に判断してかなり先の物価を予測するわけでございます。足下の物価が今マイナスであるということ、その一点だけでもしございますと、足下の、例えばこれはバブルのときも足下の物価は、これはマイナスもございました。

 したがって、私は足下の物価、これはこれでもちろん大事ですけれども、それ以上に大事なことは、この後物価の軌道がどういうふうな軌道になっていくかということでございます。今回、私どもの発表の中では、先々の経済、物価情勢を展望して、物価安定を展望できると、そうした姿を展望できるかどうかということを強調して発表しておりますけれども、それもそうした趣旨によるものでございます。

○金子洋一君 おっしゃることが正直申し上げまして分かりません。
 これ、一九九九年の四月十四日の日銀総裁、速水総裁だと思いますけれども、デフレ懸念が払拭されたと判断するときの条件は何かという記者からのお尋ねに対して、「条件と言われても困るが、この辺は、私どものいわゆる長年の経験や専門的な見方で判断できると思っている」とおっしゃっています

 その判断というのが、足下の物価が長らく前年同月比でマイナスを続けている、それなのに、今後これは必ずプラスになりますよと言われても、まさに市場とのコミュニケーションもできませんし、先ほど総裁はGDPデフレーターを使うと一般の方々に分かりにくいとおっしゃいました。GDPデフレーターよりも消費者物価指数の方が分かりやすいとおっしゃいました。いや、私には、そういうことの分かりやすさよりも、足下のCPIが継続的にマイナスを続けているのに何でデフレ懸念の払拭と言うことができたのかということの方がよっぽど分かりにくいと思うんですが、それが一般の企業人やあるいは御家庭の皆さんの感覚ではないでしょうか。

 これでデフレ懸念の払拭ができたとおっしゃられても、そして消費者物価の動きを見て判断をしましたとおっしゃっても、これはどこで判断をなさったのかと。消費者物価指数を御覧になるとおっしゃっていて足下がずうっとマイナスだと、別に消費者物価指数の動きを見ても上の方を向いてきません。

 そういったことを踏まえてまいりますと、なかなかこうしたことを、「包括的な金融(緩和)政策」につきましてコミットメントをなさったんだ、信じてほしいと言われても、これはやはりだれも信じてくれないんじゃないかと思います。特に、海外から今我が国は投資を求めなければならない状況にあります。それに、海外の皆さんに対して、そういった、日本語ではこういうふうに解釈するんですよと言ってだれが理解をしてくれるんでしょうか。
 私はそこは全く納得いきませんし、またこの問題につきましては引き続きお尋ねをさせていただきたいと思っております。以上でございます。どうもありがとうございました。

(以上)

 

『民主、刷新! ムダ全廃。景気回復。』

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このページについて

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金子洋一プロフィール


現在、民主党参議院議員(神奈川県選出)、生活支援カウンセリング協会理事長。

これまでに、経済企画庁(現・内閣府)
OECD科学技術産業局エコノミスト
青山学院大学大学院国際マネジメント研究科兼任講師などを経る。

専門は、マクロ経済(景気)と消費者問題。詳細なプロフィールはこちら

 なお、このブログの記事内で意見にわたる部分は、私の個人的見解です。いただいたメッセージは私本人が必ず読ませていただき、今後の政策作りの参考にさせていただきます。直接ご返事を差し上げる場合もありますので、できればお名前とメールアドレスをお書きください。

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