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2010年03月20日

ODA特別委員会で質問をしました

 先日3月10日、政府開発援助等に関する特別委員会の「ミレニアム開発目標の達成状況と我が国ODAの役割及び我が国ODAと民間活力の活用に関する参考人質疑」で、40分間、国会議員としての初質問をしました。

 参考人として長崎大学熱帯医学研究所国際保健学分野教授の山本太郎さんから「ミレニアム開発目標の達成状況と我が国のODAの役割」、ソニー株式会社CSR部統括部長の冨田秀実さんから「ソニーのCSR活動」、それぞれ20分のプレゼンテーションを受けた後に質問のトップバッターに立ちました。

 実は、直前に質疑をしてほしいと理事から依頼を受けたため、十分な準備ができませんでした。プレゼンテーションの資料も事前に入手できず、また、参考人質疑ですのでなんだこの程度の質問しかできないのかと思われてしまっては困るのですが、こう聞けばこういう返事が戻ってくるだろうという予想とまったく違った答弁が戻ってきたため大変に興味深かったです。

 以下、議事録から引用します。


○金子洋一君 民主党・新緑風会・国民新・日本所属の金子洋一でございます。
 今日は、山本さん、冨田さん、大変にお忙しいところをおいでをいただきまして、本当にありがとうございます。また、非常に参考になる、なかなか私どもこういったところで活動しておりましても容易には分からない側面についてお話をいただきまして、本当に勉強になりました。
 私に与えられた時間は四十分でございますので、その範囲内でお二方に御質問させていただきたいと思っております。
 まず、順番から申しまして、山本さんにお尋ねを申し上げます。
 今回、山本さん、被災直後のハイチにお入りになって様々な医療救援活動にお取り組みになったということで、またその報道などにつきましても私ども勉強をさせていただきましたけれども、大変厳しい状況で、インフラもない、そういった中で医療活動を各国ともやってこられた。その中で、山本さんもいろいろな面、御自身でこれまで御経験をなさって、ハイチにも一年か二年間おいでになって、想像されていたような面もあるでしょうし、また違った面もあったんだろうかなと思っております。
 そうした、今回の被災後の救援活動で得られた教訓、我が国に対する教訓、あるいは世界、ほかの国に対する教訓といったようなものをお教えをいただければというのがまず第一点の御質問でございます。
 第二点の山本さんに対するお尋ねでありますけれども、今、ミレニアム開発目標について御説明をいただきました。様々な項目がございますけれども、大体拝見をしてまいりますと、これはアマルティア・センが言っておりますエンタイトルメントとかなり重なってくるのではないかなと思いました。環境の部分というのはちょっと違うのかなとも思いますけれども、それ以外の部分、極度の貧困からの脱出ですとか、あるいは識字率を上げるですとか、そういったことについてはかなり重なっているように思えます。
 こういった面で、ハイチというのは西半球の最貧国と言われるわけですから、非常に欠けている、そういったその欠けていることが今回のもう数十万人お亡くなりになっていると言われる状況の下での負傷者、被災者の被害の拡大をもたらしている面があるのではないかと思いますけれども、こういった面について山本さんのお考えをお教えをいただければと思います。
 冨田さんにつきましては、また後ほどお尋ねをしたいと思います。

○参考人(山本太郎君) どうもありがとうございます。二つの質問だと思います。
 まず、第二の質問のハイチあるいはハイチを含む最貧国と言われる国、地域で欠けているものが何かという質問についてですが、私自身は、貧しい地域あるいは開発途上国と言われている地域において一番欠けているものはリジリアンスというか、何というんでしょうか、ゆとりというか、災害事象あるいは感染症、ある通常想定しないことが起こったときに、そこからの復元をする力という、その総合力が多分欠けているのだろうと。そうした総合力が欠けている理由の一つに貧しさがあり、教育が行き渡っていないということがあり、女性の差別がありということなんじゃないかと考えております。
 第二のハイチの今回の地震あるいはそれに対する支援からの教訓について言えば、これはまさに、何が教訓かをこれから我々がもう一度考え直していくべき必要があるのかなというふうに考えております。というのは、恐らく八十数年前の関東大震災を除くと、首都直下型の地震というのは今回が初めてだったんだと思います。ただでさえ政府機能が弱いところに向けて首都が被災をした、政府自身の非常に脆弱な中で緊急支援あるいは復興支援に対するロードマップを書かなければならないと。
 基本的に、私は、国際協力というのはその国の自立的な支援を側面からサポートするということが非常に重要だと考えているのですが、その自立する主体の部分が今回は非常に大きなダメージを受けた、その中での支援を国際社会はどういうふうにやっていくのか、そこを考える必要があるということが一番の教訓になるのではないかと考えております。
 以上です。

○金子洋一君 ありがとうございます。
 また、これに引き続いて山本さんにお尋ねをしたいと思いますが、続きまして、冨田さんにお尋ねをさせていただきたいと思います。
 この一ページ目の、ソニーの目指すCSR活動ということで図表を示していただきました。
 持続可能な事業活動あるいは持続可能な社会への貢献ということで、様々な取組を行っていって、最終的にステークホルダーからの信頼を得るということでございますけれども、ステークホルダーと申したときに、会社の場合ですと、やはり第一に頭に浮かびますのが株主であろうと思います。特に、最近ですと、株主の主権論と申しますか、会社はだれの持ち物であるのかといったような問いから様々な動きが見られております。特に、このところですと、食料品関係の会社ですけれども、委任状争奪戦などが行われるというような話も承っております。ということで、ステークホルダーと申したときに、会社にとって一番大切であろう株主に対してどういった形で説得をしていくのかということについてお尋ねをしたいと思います。
 特に、BOP、ベース・オブ・ピラミッドを対象にしたビジネスで申しますと、例えばバングラデシュでダノンが一個八円のヨーグルトを販売をしていると。報道によりますと、二〇一一年に黒字に、単年度黒字化がなりそうだということでありますけれども、それまでに投資した総額というのが二十六億円だということで、リターンとしては極めて微々たるものだということだと報道をされております。となりますと、そういったリターンとして極めて微々たるものをやっていく上で、株主に対してどういった形で具体的に説得をされているのか、あるいはされていこうとお考えになっているのかということをまずお尋ねをしたいと思います。
 二点といたしましては、このプロジェクト実施概要、六ページの上の方のこの写真にも小さく載っておりますけれども、二百インチなんでしょうか、この大きなスクリーンの左上の方にSONYと入っております。もちろん株式会社ですからこういった広告をしていかなければならないはずなんですが、このプログラムを拝見していましても、なかなかソニーが頑張ってやっていますよということが分かりにくい感じがいたしますので、この事業、あるいはほかの事業でも結構なんですけれども、現地の国で自社ブランドの評価を高める方法について、既にいろいろ工夫をなさっていると思うんですが、具体的にどういうふうに工夫をなさっているのか、あるいはこれから展開をされていこうとしているのか、あるいは社内で、いや、ちょっとそれは足りないんじゃないかというような議論があるのかとか、そういった辺りについてお教えをいただければと思います。

○参考人(冨田秀実君) 二つ御質問をいただきまして、どうもありがとうございました。
 非常に難しい御質問かと思いますが、まず一つ目のステークホルダーの部分でございますが、特に私ども、CSR活動という観点に立ちますと、ステークホルダーは株主や投資家に限ったものではなくて、もちろん顧客、お客様でありますとか社員ですとか政府機関、NGO、こういった多様なステークホルダーの皆様に、こういった形でいかに信頼を勝ち得るかといった観点で取組を進めておりますので、そういう意味では、様々に価値観の異なるステークホルダーの皆様、どういうふうにそれぞれの興味、御関心を理解しながら取り組んでいくかというところを我々常々考えているところであります。
 実際、株主、投資家というステークホルダーにいかに説得していくかという観点に関して申しますと、まず一つ、最近の注目すべきトレンドといたしましてSRI、社会責任投資家といった一部の投資家グループが、従来のように企業の財務的なパフォーマンスだけではなくて、いわゆるCSRのパフォーマンス、社会や環境への配慮、こういったものを積極的に投資の評価に取り入れていくといったグループが徐々に増えてきている。これは特にヨーロッパなんかを中心に増えてきているというふうに理解しておりまして、こういった特に投資家、株主の方々に関しましては、このCSRの活動自体が直接的に大きなプラスポイントとして評価していただけるということになろうかと思います。
 ただ、当然株主、投資家の皆様がすべてSRIだというわけではございませんので、一般の、より利益面に関心のある投資家の方々ということに関しまして言うと、このCSRの活動、こういったものは確かに直接的な売上げにすぐ貢献するといったものではないかもしれませんが、こういった活動を通じてソニーという企業のブランド価値の向上というのに当然寄与すると思いますし、こういった活動を通して社員のモチベーション、こういったところ、またさらには優秀な人材の獲得、こういった側面にも寄与します。また、ひいてはこういった活動を通じて新しいイノベーションが起こっていく、こういったところから、ある程度、中長期的な観点から見れば、適切にこういうところに投資していかないと、逆に株主価値を損ねてしまうという結論にも結び付いてしまうんではないかというふうに考えております。
 そして、二点目ということに関しましては、今回例えばこのプロジェクトを実施いたしましたガーナなんていう国では、私どもの販売拠点というのもまだ現在はない時点でありまして、当然幾つかの電気店等では我々の製品も並んでおりますが、まだ特にマーケティングという観点からは大きなブランディング活動を行うという段階には必ずしも達していない地域に属するかと思います。実際、そういった地域こそが今日のテーマでありますミレニアム開発目標の課題が山積している地域ということでありますので、逆にそういった地域においては、極端にブランディングといったところを前面に出すよりは、やはりそういった基礎的なところをきちんと貢献させていただいて、きちんとその地域に根付いていくといったところが、ひいては中長期的にその国が発展していったときにその国にとって非常に重要なブランドになるのではないかというふうに考えております。

○金子洋一君 ありがとうございました。なかなか、まだガーナにおかれても最初の一歩を踏み出しただけだということで、これから様々な取組を通じて広めていかれたいというようなところなんではないかなと受け取らせていただきました。
 それでは、山本さんにまた先ほどのお尋ねの続きで質問をさせていただきます。
 先ほど、リジリアンスが欠けているということが大変に大きな問題ではないかとおっしゃいました。確かに、ミレニアム開発目標の項目の中でそういったことがきちんと高まっていけばリジリアンスも増えていく、強化されていくという感じがいたします。
 一方で、お話の中にもありました、山本さんの六枚目にミレニアム開発目標達成状況ということでちょうだいしておりますけれども、東及び東南アジアを中心に行程表に載っている地域もあれば、サブサハラや南アジアあるいは西アジア、中央アジアでは状況が余り良くないということであります。
 こういった地理的な状況を見てまいりますと、もちろん開発援助と申しますと非常に短期的な援助のことをどうしても思い浮かべがちになりますけれども、内在的な経済発展の有無というのも非常に大きく影響をしているのかなという気がいたします。
 そうなってまいりますと、私どもODA特別委員会でございますけれども、ODAの考え方そのものとして、今のミレニアム開発目標といった目の前にあるこの目標を実現をする上で、いや、実はもっと根本的なところから考えていかなければならないのかもしれないというような、何というんでしょうね、新たな視点の持ち方というようなものが必要になってくるのではないかなと感じるんですが、その辺り、実際に現場に行かれている山本さんとしてどのような受け止め方をなさっているのか、ちょっとその辺りをお聞かせいただきたいと思います。

○参考人(山本太郎君) どうもありがとうございます。
 リジリアンスが社会を安定的に動かす意味で非常に重要なものであると考えています。
 ちょっと話は外れるかもしれないんですが、私は医師として数年働いたことがありまして、そのときに患者さんを助ける際に非常に重要なことというのは、ある一定の、ホメオスタティックというんですけれども、一定の状態の、正常と言われる状態の中に置いておいてあげるということで、生物とかあるいは組織、ネットワークの中というのは、一度その正常域から外れちゃうと、どどどっと悪くなる傾向があって、常に安定性に向かって働く状態に物事を置いておくことが重要だと医者になったときに習ったんですが、それは社会においてもそうなのかなというふうに考えることがあります。
 今、ミレニアム開発目標の達成が実は困難な地域でやっぱり困難であって、ということは、その困難な地域こそ、何というんでしょうか、外部的な要因を入れてもその達成をしなければリジリアントが達成できないんだろうという、多分そういった視点の援助の考え方というのが必要になってくるのかなという気はしております。
 以上です。

○金子洋一君 ありがとうございます。
 そうなってまいりますと、具体的に、旧来の考え方ですと、道路を造るとか橋を造る、あるいは地下鉄を造るといったような形のものが我が国としてはODAということで多かったわけですけれども、具体的に申しますと、そのミレニアム開発目標にありますような人間開発を目的としたもの、識字率ですとか女性の社会参加ですとか、そういったようなことを変数としてそこを目標にして動いていった方がいいということになりましょうか。

○参考人(山本太郎君) ありきたりの答えになるかもしれませんが、私自身はどちらも必要だと考えております。
 いわゆる女性のエンパワーメント、教育あるいは医療の保障というものも社会のソフトインフラを高めていく、その側面も絶対的に必要ですし、でも、その側面だけで解決できない、いわゆる社会のハードなインフラへの投資というものも恐らく必要なんだと。多分、そのバランスというかその両輪が必要で、今まで開発議論は、よくソフトの方が必要なのかハードの方が必要なのかという偏った議論をしてきたんですけれども、答えは両方必要だろうというふうに個人的には考えております。

○金子洋一君 ありがとうございます。なかなか一朝一夕には解決の出ない問題ではないかなと思いまして、お答えを聞かせていただきました。
 では、これはお二方にお尋ねを申し上げたいと思うんですが、ちょっと今日いただいたお話から若干離れてまいりますけれども、これは今後のODAを考える上で私がいつもこんなことがどうなのかなと思っていることですので、この機にお尋ねをさせていただきたいんですが、ODAを行った先で非常に感謝をされているところ、感謝をされていないところがございます。
 例えば、先日我が国にラオスのチェンマリー国家主席がおいでになって、ラオスの国家主席の訪日というのは今回が初めてだったそうなんですけれども、あの国に対するODAで橋が造られていて、その橋があちらのお札の裏の、何というんでしょう、柄になっているということで、大変ラオスの国では我が国の援助というのは有り難く受け取られているということを承ったことがございます。
 また一方で、私、昨年中国に行ってまいりまして、中国の地下鉄の、何というんでしょうね、ヘッドクオーターに行ってまいりましたけれども、その中国の地下鉄の少なくとも一部の路線というのは我が国からのODAを使って建設をされていたんですけれども、その記述が一切どこにもない。友好的な場でしたから、そんなにきついことは申せませんので、せめて我が国からの資金で造られているんだったらどこかにそのくらいのことを書いておいてくださいよと申し上げて帰ってまいりましたけれども、私どもとしましては、我が国が力を貸して造らせていただいたものにはやはりどこかで日本の関与に対する感謝というものが欲しいなと思う次第であります。
 そういったことを考えますと、そういった形で日本が応援をしているんだということを向こうの国で何らかの形で知らしめるといったような方向性を持たせるということがこれからの納税者に対する説明の責任ともなってくるんではないかなと思います。
 例えば、ちょっと余談になってしまうかもしれませんけれども、二〇〇〇年辺りをピークといたしまして、我が国のODAの予算というのはどんどん減ってきております。これは、景気が悪いですとか様々な要因がございますけれども、その一つの要因として、海外で余り感謝されていないんではないかなという世論の声も大きいのではないかなと思います。そういった世論に対して、いや、ちゃんと感謝をされているんだということを示すためにも、やはり我が国がODAをその国でやっていますと、そういったことをかの地でも知っていただきたいと思うんです。そのために、まあ売名ではありませんけれども、正当な評価を得るために外国、そのODAの先の国とどういうふうに付き合っていくのか、あるいはどういうふうな持っていき方をすると先方に我々が造ったんですよ、やったんですよということを認識していただけるのかといったようなことについて、お二方から順番にコメントしていただければと存じます。

○参考人(冨田秀実君) では、私の方から答えさせていただきますが、まず、これは非常に企業でも似たような課題に結構直面するところもある課題ではないかなというふうに感じました。
 まず、そもそもこういったODAで実行されること自体が本当にその相手国、相手地域のニーズをとらえているかどうかと、これは非常に基礎的なところとしてまずあって、そもそもそのニーズに的確にこたえていなければ当然感謝されないのも当たり前ですので、そこのセンサーをまず初めの段階できちんとされるかどうかというのは当然必要な要素ではないかと思います。
 その次のステップですが、これは我々企業のCSRの中でもよく議論になるものなんですが、何らかの社会貢献活動をやったときに、これがどれぐらい感謝されるかとか、これをどうやってブランディングに使っていくかみたいなところは非常に共通する課題ではないかなというふうに感じましたが、日本には結構古来から陰徳というような思想があって、いいことはするけれども、それは隠れてするのが理想であるという、そういった考え方の方も確かに今いらっしゃると思いますし、そういったアプローチも当然あり得るのではないかと思います。
 ただ、当然考え方としてもう少し積極的に、その相手国でのブランディングですね、日本が支援しているんだということをもっと明示的にやっていくような形というのも当然考えられますので、ここはいろいろ議論が必要なところじゃないかと思いますが、短絡的にまず結論を出すというよりは、やはりそういったODAのプロジェクト自体を本当に何を達成していくためにやるのかというところをもう一度改めて考えるべきではないかなというふうに思います。
 先ほども触れましたが、実際そのODAの案件自体は、何らかの相手国の社会ニーズにこたえていくというところがまず一つの直接的な目的ではあると思うんですが、先ほどCSRの事例でも御紹介したように、そこからソニー、企業が社会貢献をやったときにその副次的な効果として、ブランドの効果を取るのか、例えば社員の満足を取るのか、さらにはそういったまた新しいイノベーションを生み出す源泉とするのか、そういった副次的なところで何を目指していくのかというところまで総合的に考えた上で戦略を立てていくべきではないかなと思います。
 その結果として、ブランディングは非常に優先度が高い、ある特定の国ではやはり日本の貢献というのをより明示的に示してもらうべきではないかという判断であれば、そういったところにより力を割いていくという判断ができるのではないかなというふうに思います。

○参考人(山本太郎君) 正当な評価ということなんだと思うんですけれども、これも極めて個人的な感想の域を出ないんですが、多分何かをすればそうした評価が上がるという万能薬のような対策はないのだろうと考えています。逆に、今の評価というのがもしかするとその国の日本に対する評価の正当な評価ということなのかもしれないと思うときもあります。
 というのは、恐らくODAを通じた協力の評価は、ODAを通じた協力に対する評価のみでなくて、日本の民間ベースの経済力であるとか貿易を通じた日本との交流であるとか、あるいはもっと言えばスポーツとか音楽とかといった文化そのものの日本の発信力であるとか、そういった日本の総合力すべてがあって、その上にODAの幾分かの、何というんでしょうか、成果があると。それがその国のODAに対する評価として出てくるという気がしていまして、ということは逆に言うと、その評価を上げるためには、ODA自体で何らかの広報活動を高めるというよりも、日本そのものの発信力、あるいは日本そのものの魅力を総合的にどう上げていくかということが逆に重要なんじゃないかなという気がしております。
 そういう意味では、政府ベースでのディプロマシーも大切ですが、いわゆるセカンドトラックディプロマシーと言われる民間ベースでの外交、あるいはもっとそうした戦略的なパブリックディプロマシーと言われる文化を中心とした発信をする外交なんというのも、実は結果的にODAの評価を、あるいは日本の国際的な評価を高めていく上ですごく重要なんじゃないかと考えることがあります。
 以上です。

○金子洋一君 ありがとうございました。
 では、最後にお尋ねをしたいんですが、お二人とも海外でこういった活動をなさっていて、日本の動きが鈍いというような御批判をよく、現地でも御覧になって御自身でもお持ちになるかもしれませんし、あるいはマスコミなどでも言われていることなんですけれども、日本の動きが鈍い、それに比べてほかの国はというような形で、ほかの国で比較をされる国として最近急に上がってまいりましたのが中国ではないかなと思います。特に、中国の場合、発展途上国に援助をするときに、戦略的に重要、地理的に重要であったり、あるいはそこに希少資源があるといったような理由で援助をしている場合も多いように聞きます。
 そういった形で、中国には限りませんけれども、ほかの国の取組を現場で御覧になっていて、山本先生の場合でしたらほかの国の政府の取組、冨田さんの場合でしたらほかの国の企業の取組で、こういった取組をしている国があってこれには驚いたとか、あるいはこういったことを日本も政府が少しバックアップしてやってくれれば我々としても活動がしやすいのにというような具体例がありましたら、それをお聞きいたしまして、私の質問を終了させていただきます。

○参考人(山本太郎君) ざくっと国際協力あるいは海外に出て思うことということになるんですが、実は国際協力という言い方、あるいは国内と国際というか海外を分けるという考え方自体が非常に日本としては特殊な感じになってきているのかなという感じを受けます。
 アメリカでは、例えば今回のハイチの地震の問題というのは、国際問題ではあるんですけれども、一方で国内問題でもあるわけなんです。ハイチからの移民がアメリカで二百万人、三百万人。それがある意味で、政治的に非常に強いキャスチングボートを握ったりしているという意味でも国内問題ですし、ハイチで何らかの例えば非常に大きな感染症が流行するというのは、海一つ隔てた向こうでの出来事で、言わば国内問題なんですね。そうしたときに非常に国民の関心というのは高くなる。また、ヨーロッパ、イギリスを中心とする国々では、アフリカの問題というのが一方で国内問題で、人の流通が物すごく大きいと。
 ですから、国際問題が国際問題である限り、日本にとってはそれは外部経済であって、非常に何らかのコストを払ってやるべきものというふうになるんですが、それが内部化今後していくのかどうかということが多分日本の国際協力の在り方を変えていくのかなと。人口減少が始まる日本社会の中で、日本自体の、社会自体の国際化が今後どうあるべきか、あるいはどういうふうになっていくかが非常に日本の今後の在り方を変えていくだろうという気は、外の社会を見ていて思うことであります。
 以上です。

○参考人(冨田秀実君) 非常にある意味で大きなお話ではないかというふうに思いますが、私が今担当している分野で感じるところを簡単に述べさせていただきますと、まず他国においては一種の組織間の連携のやはりスピードが速い。やはり日本の場合ですと、多分相対的に、政府機関ですとか企業、NGOなんというのは比較的独立に動いて独自でやっていく傾向があるのに対して、かなりトライ・アンド・エラーを含めて海外の国ではそういった連携を早い段階から模索していろいろな一種の積み重ねができているといったところが一つ違いとしてあるのではないかなというふうに思いますし、あと一つ、やはりどうしてもこういった国際貢献系の話ですと、NGOの力という観点に立ちますと、まだまだ日本のNGOさん、たくさんありますが、やはりそれぞれ規模は非常に小さく、海外のNGOに比べると圧倒的に規模感で劣る現状だと思いますので、こういったところが一種の連携を阻んでいる原因の一つではないかなというふうに思います。ただ一方、そこで日本の中だけでうまく連携をしていけばいいかというと、逆にそれはそれでこの今の時代においては正しい解答では必ずしもない。
 そういう意味でいくと、もっとそういう意味での組織間の連携を、日本国内に限らず海外の組織等も含めて、もっとオープンな形でネットワークし協力をしていくようなことを積極的に推進していくべきではないかというふうに考えます。

○金子洋一君 ありがとうございました。


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金子洋一プロフィール


現在、民主党参議院議員(神奈川県選出)、生活支援カウンセリング協会理事長。

これまでに、経済企画庁(現・内閣府)
OECD科学技術産業局エコノミスト
青山学院大学大学院国際マネジメント研究科兼任講師などを経る。

専門は、マクロ経済(景気)と消費者問題。詳細なプロフィールはこちら

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