さすがに経験を積んだキッシンジャーの読みは深いものがあると思います。
《 キッシンジャー元米国務長官は5月31日放映のCNNテレビで、北朝鮮の核開発停止に向けた取り組みについて「中国が何もしなければ、韓国と日本は核兵器を保有する」と警告。東アジアに核軍拡競争が起きる可能性に言及し、中国が米国と協調して北朝鮮への圧力を強める必要性を訴えた。キッシンジャーには昔から反日バイアスがあり、私は、日本の防衛力整備の方向性が核兵器保有に向かう可能性については極めて否定的に考えていますが、韓国にはキッシンジャー氏は、中国の立場について「北朝鮮への圧力が効かなければ無力と見なされる」と述べるとともに、逆に圧力が効けば北朝鮮が政治的に混乱し難民が国境に押し掛けるだろうと説明。その上で、中国に切迫した状況を認識するよう求めた。》
(元米国務長官:日韓の「核武装」警告 中国に関与要求)
《北朝鮮の核は、必然的に日本の核武装を刺激することになる。イ・サンヒ国防長官が語るように、「核には核で対抗するのが基本戦略」だ。》というようなもう一方の「跳ね上がり」的意見があり、いずれにせよこのあたり北朝鮮は自分をめぐる状況がわかっているのかきわめて疑問です。
(【コラム】「核には核で」(下)朝鮮日報)
もう一つ私が注目した報道はこれです。
《 「中国は我々が思うほど北朝鮮への影響力を持っていないのではないか」(ソワーズ英国連大使)。国連安全保障理事会が進めている対北朝鮮決議案の調整では、微妙な中朝関係を背景にした中国の苦しい対応も目立っている。今後の北朝鮮をめぐる情勢を考える上で大変重要な指摘だと思います。中国は北朝鮮の暴走を止めることができる唯一の国とみなされ、日米などは強い影響力を行使するよう求めてきた。だが、北朝鮮は今回、中国の制止も聞かずに核実験を強行。安保理協議では、制裁強化に一定の理解を示しながらも具体策では「本国政府の指示が来ていない」と旗幟(きし)を鮮明にしていない。
中国の対応には「北朝鮮の独裁政権崩壊による混乱が中国に波及することを真剣に懸念している」(ソワーズ大使)との分析がある一方、中国の張業遂国連大使と話す機会も多い西側外交官の1人は「中国は北朝鮮に対する影響力を過大評価してほしくないようだ」との印象を語っている。(ニューヨーク=中前博之) (30日 23:49)》
(中国、北朝鮮への影響力「思ったほどない」 英国連大使)
以前、私は、北朝鮮サイドにたった場合彼らが採るべき軍事戦略について、思考実験的に以下のように考えたことがあります。
(1)虎の子のテポドン2号の発射はせずに取っておき、じっくりと脅迫に使う。今の北朝鮮の動きはこの3つの逆をいっています。(2)については、米国を挑発するだけでなく、中華人民共和国まで刺激してしまっています。
(2)米本土アラスカに到達する可能性のある方角には決して発射しない。
(3)日本は刺激しないでほうっておくのが一番よい。
北朝鮮が私が考えている以上の妙案を持っているのか、それとも彼らにとって最悪の状況を迎えてしまうのか。これからの北朝鮮の外交の意図と能力を測る上でも大変興味深いものがあります。先日の再度の核実験の際にも論じたように、中朝の直接対立を含め、事態はきわめて切迫していると考えるべきでしょう。
また、知らず知らずのうち米国内で日本の核武装の可能性まで論じられている、それほど急激な流れの中で日本がどのように対応していくべきなのか。じっくりと考える必要があろうと思います。





