不法滞在カルデロン一家と非正規雇用日系人
不法滞在のカルデロン一家のカルデロンのり子さんが始業式で中学校に登校したことをニュースで知りました。ご両親のアラン・カルデロンとサラ・カルデロンさんは来週国外退去になるそうです。私は、この問題に関する報道ぶりには違和感を感じています。なぜマスコミはこれほど不法滞在に甘いのでしょうか。
カルデロン一家は、偽造パスポートで入国し、その上、カルデロンのり子さんが日本語しかしゃべれないことを理由に在留特別許可を「要求」しました。これにマスコミの論調は極めて同情的です。
偽造パスポートで入国した者はそもそも国籍も身元すら不明です。また、政治的亡命でもなく長期にわたって不法に滞在したものに対してなぜ特別許可などする必要があるのでしょうか。なぜ母国に帰ることをいやがっているのでしょうか。不法入国が発覚すれば追い返されることは当然ではないでしょうか。
「子どもの権利条約」が国内法に優越するうんぬんと、国内法に対する条約の優位性を引っ張り出す人々もいるようですが、そういう人たちに対しては、「では日米安保条約は国内法に優越するとあなたたちはお考えなのですか」と確認をしなくてはなりませんね。どうもご都合主義的に法理論を振りかざしている人々が多いようです。
もちろん、カルデロンのり子さんは日本語しかしゃべれないことには同情しますし、両親と離ればなれになることはかわいそうですが、離ればなれに生活することを選んだのは両親であって、日本国政府が強制したわけではありません。
いつ発覚して強制送還されるかもしれない身分であることを自覚していたならば、両親や日本にいるという親戚がきちんと母国の言葉を教えていなければならないでしょう。それが危機管理というものです。人権上の配慮なら、そもそも厳密にいえばどこの国籍かもわからない(確実なことは日本国籍ではないということだけでしょう。)カルデロンのり子さんの在留を認めたことだけでも極めて大きな譲歩、私にいわせればやりすぎに近い譲歩だと思います。
だいたい、合法的に入国して長い間日本企業で働いてきた日系人で今回の非正規雇用切りや派遣切り、雇い止めのあおりを受けて、泣く泣く帰国した人が大勢いるじゃないですか。そういう家庭にはカルデロンのり子さんと同じように日本で生まれて日本語しかしゃべれずに帰国した子どもたちが大勢いたに違いありません。
私のよく知っている例として三重県では特に北勢で、日本語のしゃべれないブラジル人子弟(必ずしも対象は日系人だけではありません)に対してさまざまなサポートが行われていて、四日市市などでは、一部の役所関係の文書は、ポルトガル語とスペイン語版もあるくらいでした。つまり、日本語のしゃべれない子どもたちは大勢いるわけで、少し調べればそういう人たちのきびしい状況もわかるはずなのですが、なぜそういう子どもたちではなく、特にこのカルデロン一家だけに同情するのでしょうか?
彼らは、合法的に入国し、しかも遠いとはいえ我々と血がつながった人々です。同じ工場で同じ仕事をしても、日本人社員と比べてずっと低い賃金で働いてきた人々です。彼らの低廉な労働力が、日本人の非正規労働者とともに日本企業を支えていました。私の地元にある工場にもそういう人々が大勢働いていました。それが輸出に急ブレーキがかかったことが原因ですぐさま首になってしまったのです。私はこういう境遇におかれた非正規雇用の日系人にこそ同情します。
彼らの祖先は海外に雄飛するという選択肢を選んだために結果的に経済的にみれば貧乏くじを引いてしまったのですから。今の日本では考えられないことですが、戦前には日本の国土は狭すぎて日本人の人口を支えきれないと考えられていました。そのため経済的なチャンスを求めた人々が海外に移民していったのです。そのような移民は高度成長期にはなくなりました。人手不足になったからです。彼らが外国に行ったおかげで我々日本に残ったものも得をしました。我々が彼らの立場にならなかったのは、極論すればちょっとした巡り合わせに過ぎません。
さて、カルデロン一家と日系人の違いは、不法滞在かどうかという点ですが、彼らが「不法滞在」であることに着目して、なんらかの動機から不法滞在を社会的に容認するように動いている勢力がまさかサポートしているわけではないでしょうね。それこそ合法的に滞在している外国人や我々日本人の人権を侵害することです。そんなことはないとは思いますが、論理的に考えるとなんとも腑に落ちません・・・



