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2008年12月09日

中小企業への30兆円特別信用保証制度復活を断行すべき

 以前のエントリーで、

  《我が国の場合、金融セクターがそれほど損なわれているわけではない一方で、景気悪化の影響が特に地方や中小企業という国民経済を構成する最も弱い部分に集中的に現われているために、普通のやり方の景気対策では効き目が期待できないことが予想されるからです。輸出主導の景気回復ではたしてこれらのもっとも痛めつけられているセクターに効果が及ぶかどうか、疑問です。》
日本は財政出動はしない方がいい
 と書きました。その時にまず最も大切な政策として念頭に置いていたのは、金融機関による貸し渋り対策として平成10(1998)年からおこなわれた総額30兆円の中小企業への特別信用保証制度の復活だったのですが、世間ではばらまきであるとか批判を受けていたために望み薄ではないかと漠然と考えていました。

 しかし、民主党の経済対策関連法案についてにしっかりと明記されているではないですか!
  《「特別信用保証」制度を復活させ、信用枠30兆円を確保する。セーフティネット融資(原油高騰関係)の既往貸付の繰延返済を認めると共にセーフティネット信用保証の対象業種を900業種(創業後3年以上)に拡大する。》
民主党:経済対策関連法案について
 政府与党からではなく野党である民主党がこういう政策を出すことに大変大きな意義を感じます。逆に政府与党の第1次補正予算には最大6兆円の緊急信用保証制度しか入っておらず、悪い制度ではありませんが、市町村の認定が必要であるなど、規模でも条件面でも足りません。

 この特別保証枠は、従来の信用保証が担保や連帯保証人の面でやや厳しかったものであったのに対して、かなり条件を緩め、ひらたくいえばとにかく倒産の危機を脱してもらうことが目的の制度でした。審査も緩いことからモラルハザードを招きかねないという批判もありましたが、1997年から1999年の日本経済の最悪の期間には大きな役割を果たしました。結果的に、大幅な債務超過に陥ってしまっていた企業以外は特別信用保証枠の恩恵にあずかり、つなぎ資金の融資を受けることができたのです。(信用保証協会に対しては最終的には政府が資金を支援することになります。)

 通常の公共投資などの財政支出と比較しても効率が必ずしも悪いものではありません。特別信用保証枠を利用して中小企業に対して貸し出しが行われた28.9兆円のうち、信用保証協会によって代位弁済が行われた金額(つまり、お金を借りた企業の代わりに信用保証協会によって返済が行われた金額)は2.3兆円、8.1%でした。その代位弁済された債権は、信用保証協会が最終的には借金をした企業から回収するのですが、その比率は現時点では12%となっており、事前に想定していた5割を大幅に下回るものの、逆にいえば、すくなくとも企業から91.9%の返済は行われたということですから、緊急避難的な政策としては大変に有意義な政策だったといえるでしょう。

 もちろん、担保を持っている企業からは担保の提出を求めるなど運用面での改善は必要だと思いますが、現在最も必要とされている政策がこの特別信用保証制度の復活だと考えます。地銀などの金融機関の所管は財務省、一方で信用保証協会の所管は経済産業省です。中小企業金融という大切な機能が、縦割り行政のすきまに落ちてしまわないことがとにかく大切です。

 この政策は、資金繰りの窮地に陥っている中小企業につなぎ資金を融資するものであり、将来に禍根を残すような無責任なばらまきとは異なります。中小企業をめぐる資金繰り環境は平成17(2005)年夏をピークに悪化を続けています。地方の中小企業の経営を助けるために速やかな実施を望みます。(その前に民主党が政権を取らなければはじまりませんけれども。)
(データについては、渡辺努、植杉威一郎著「検証中小企業金融」日本経済新聞出版社を参考にしました。)



 

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» 民主党、信用保証協会の対象を全業種(900業種)に拡大 送信元 国会傍聴記by下町の太陽・宮崎信行
 民主党は次の内閣(NC)で決定した「経済対策関連法案」のなかに、1998年の日本経済・金融の危機を救った「特別信用保証(マル特)」を復活させ、対象業種を... [詳しくはこちら]

コメント (1)

あんず:

信用保証協会は特別保証を代位弁済した場合すべて補填されるわけではありません。基金が底をついた信用保証協会は自己負担です。
全国52の信用保証協会があるうち、どれだけの信用保証協会が自己負担しているかおわかりですか?

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金子洋一プロフィール


現在、民主党参議院議員(神奈川県選出)、生活支援カウンセリング協会理事長。

これまでに、経済企画庁(現・内閣府)
OECD科学技術産業局エコノミスト
青山学院大学大学院国際マネジメント研究科兼任講師などを経る。

専門は、マクロ経済(景気)と消費者問題。詳細なプロフィールはこちら

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