米国の大統領選挙では変革を唱えたバラク・オバマ氏が選ばれました。
国民は、軍事的リーダーではなく経済を立て直してくれるリーダーを求めました。これがオバマ氏の地滑り的な大勝利に結びついたのでしょう。これがまた違う政治的、軍事的ムードの元での選挙であったら、ベトナム戦争の勇者であるマケイン氏が勝利を収めたことでしょう。
これからの米国はしばらく内向きになり、これまで8年間の過度に外向きな米国がもたらした弊害とまた違った意味での問題を全世界に引き起こすでしょう。また日本の周辺国に対する問題でも未知数です。アメリカ外交というのは極端から極端に走り、中庸がありません。まったく困ったものです。
このムードを作り上げたのは昨今の経済情勢です。実は私のブログを読んでいただいている皆さんからは「なぜ米国発の恐慌ともいうべき経済情勢について、まったく取り上げないのか」というご質問をいただいたりしています。
正直言って私自身、今回の米国や世界の経済情勢をどのように判断すればいいのか、ちょっと最終的な図解をつくりかねています。
例えば、多くの皆さんが米国の「行き過ぎた市場主義」が原因だとおっしゃいます。しかし私にいわせればなにがどう行き過ぎたのか、いささか定義が不明確すぎます。
むしろ「市場主義が貫徹されなかった」から、「マーケットメカニズムが国家の判断でゆがめられた」から、今回のサブプライム危機や一次産品の高騰が起きてしまったと論ずることは十分可能ですし、そういう仮説をおくことは作業の下準備としてはむしろ有益ではないでしょうか。
米国のサブプライムローン問題でも、証券化やマネーゲームの行き過ぎを論難するよりも、むしろ米国政府の住宅取得に関する過剰なほどの優遇政策によって実態以上に資金が住宅市場に流入したことが原因であると考える方が建設的でむしろ本源的かもしれません。
その流入した資金は、米国外からやってきた資金でしょう。例えばバーナンキが指摘した東アジア経済危機を契機に、発展途上国が投資を抑え、ドルで資産を運用するようになったことがその原資になっていることだと思います。(すると問題はIMFの失敗と、不換通貨であるドルが基軸通貨になっていることになります。)
また、原油を例にとれば、湾岸産油国は市場での原油価格の形成を行うスポット取引を忌避し、相手先国と転売を禁止した長期的取引を行っています。
彼らは原油価格を手放したくないのです。これは歴史的経緯を見れば無理からぬことですが、ここには市場が存在しないわけです。世界の原油の自由な市場が、取引量でいえば一部でしかなく、それゆえ価格操作が可能なWTI先物市場などに限られてしまったことが投機的取引による過大なボラティリティを生み、また、米国政府も一部業者の意向を反映してか、取引情報をきちんと開示させてこなかったことなどが今回のような状況を生み出していると考えることも十分に可能だと思います。
また、健全な市場とは、どの参加者も自由に参加でき、どんなに参加者が多くなっても取引がさまたげられないものでしょう。このことは、いわば市場そのものが公共財であるという性格を持っていることを意味しているのではないでしょうか。公共財であれば当然のことながら過小供給されてしまいます。
現実に市場の欠如が原因になったと考えられる典型的な例が、この夏には1バレル150ドルにも及んだ原油価格です。オイルサンドやオイルシェールからの生産は現在の生産技術では80ドル程度で採算が合うといわれています。先物市場が効率的であるならば、2年近くも80ドルを上回る価格で取引されたことは異常事態であるとしか考えられません。原油生産や精製のための施設の設備投資の判断は極めて長期的な判断となりますが、そのような長期(10年くらいでしょうか?)をカバーできる先物市場が存在したならばこういうことは起きなかったはずです。
ここまで書き連ねてきたことはほんの思考実験的な列挙に過ぎません。が、なんだか私には昨今の経済的な動乱が、規制が足りなかったからというよりもむしろきちんと機能する市場が足りなかったからと考えた方がいいような気もしています。
ただしこれは今後の私の考えのほんの最初の一歩に過ぎません。この文章自体メモです。ですから、じっくり考えてみて、やっぱりまったくからっぱずれの当て推量だったということになって、引っ込めることになるかもしれませんのでその点はお許しください。
それにしても「バラク・オバマ氏47歳米国大統領」。それにくらべてこの私、金子洋一は46歳、浪人。う~ん、思わず泣けてくるような・・・でもまだまだ臥薪嘗胆を続けます。





