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2008年03月10日

武藤敏郎副総裁の総裁昇格か?:日銀後継総裁問題

 日銀後継総裁問題で自民党案が民主党に対して提示されました。その内容は、武藤敏郎副総裁の総裁昇格、副総裁候補には日銀出身の白川方明京都大大学院教授と、経済学者として名高くまたインフレーションターゲット政策の推進者としても知られる伊藤隆敏東京大大学院教授が示されました。

 日銀総裁選びでの最も重要なことは金融政策のプリンシプルの問題です。これを議論しなければいつものように単なる政局に堕してしまい、世論からの反発も強くなることでしょう。

 もっとも避けるべきは日銀の組織的利益を追及する人です。つまり、「金利の正常化」と称して淡々と利上げを図ろうとする輩です。このような人間はまず真っ先に排さなければなりません。それに比べれば「財金分離」などというのは小さな問題です。この条件からみて白川方明氏は日銀内からのプレッシャーに対してきちんと反対することができるかどうか少々心配です。

 今の日本で一番大切なことは、デフレ問題は金融政策で対応可能だということをしっかりと具体的な政策に結びつけることです。輸入物価が上昇しても消費者の心理が冷え込んでいれば、一般物価は上昇しないので必ずしもデフレ脱却につながらない可能性があります。

 その意味からしてもインフレ目標政策をはじめとするリフレ政策が依然として必要です。現在では景況も悪化し、デフレ心理からの脱却だけを考えていればよかった一昨年までとは状況が異なってしまっています。

 この観点からは、国際的知名度、学者としての力量などからしても、今回の3名の中ではむしろ伊藤隆敏氏こそが総裁にふさわしいと思います。

 財務省出身者については、日本経済全体との関係を考えると一番大切なのは公債残高との関係で、実質金利と物価上昇率の関係が一番の関心事項になると思いますから、フィッシャー効果をどう考えているのかということだと思います。

 物価上昇率があがると、その上昇分だけ名目金利が自動的に上がり、結果としては実質金利が変わらないというのがフィッシャー効果ですが、このフィッシャー効果が100%働く世界というのは要するに貨幣数量説が成立する新古典派の世界で、そのような世界では本来、不況は存在しないはずなのです。ですから現在の日本ではフィッシャー効果が100%働くとはとても思えないのですが。武藤敏郎副総裁についてはこの点どう考えているのかは不明ですから、判断は保留したいと思います。(きちんとやってくれるのではないかという状況証拠もなきにしもあらずのようです。)

 いずれにせよ、同意拒否の根拠がただ単に「出身省庁だから」、「天下り人事だから」ということではまったく意味がありませんと以前に書きましたように、政府提案の日銀総裁・副総裁候補3名に反対するためにはまず理想とする金融政策のあり方を示すことが重要です。政争の具にしているという批判を招かないためにはこの点をきちんと押さえる必要があります。

 もちろん、実業界からの起用というのも悪いアイディアではないと思います。

  《首相は自民党閣僚経験者に、日本経団連前会長でトヨタ自動車相談役の奥田碩(ひろし)氏の名前を出して、「ああいう国際的な人がいいと思うのだが、どう思うか」などと漏らしている。》
読む政治:日銀総裁人事(その2止) 「自前」逃した首相 人事権けん制、身内からも
 内閣の人気浮揚という観点からはその線で突っ走ればよかったのに、とも思います。


 

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