福田康夫氏、麻生太郎氏の両氏が立候補した自民党総裁選は、福田康夫氏の勝利に終わりました。開票結果については、一番最後にのせておきますが、今回の結果を一言でいえば、なだれ現象は自民党員には起きなかった。むしろ逆に、「小泉旋風」と比較すればより小さなものでしたが「麻生小旋風」が党員の間には起きていた。特に、東京、神奈川、大阪などの都市部でそれが著しかったことが特徴です。
前回の安倍晋三氏の時には、国会議員での間と同様に、党員にも「安倍旋風」が生じていましたが、今回は、議員には「福田旋風」が、党員には「麻生小旋風」がそれぞれ別の方向を向いて起きていた。また、この現象は小泉純一郎氏が自民党総裁に当選したときとは逆になっています。小泉氏の時には、地方での党員投票が圧倒的に小泉氏に集まったことを受けて、議員の間でもなだれ現象が起きました。
民主党側は、麻生太郎氏よりも福田康夫氏の方が与しやすいと本音では考えているはずと、以前ブログにも書きました。麻生太郎氏は、インターネット上や若者の間に人気があり、「キャラが立ちすぎていて」自民党らしくない相手で、どう戦えばいいか判らない相手ですから、野党からみれば福田康夫氏が総裁でよかったと思います。
もう少し、自民党総裁選の結果について考えてみたいと思います。
今回、自民党の9派閥のうち、麻生派以外の全ての派閥が今回福田康夫氏支持にまわりました。その所属議員は合計300人余りにのぼりました。ところが、開票の結果明らかになった福田氏に投票された国会議員票は254票。50票以上が逃げました。この面では、皮肉な言い方をすれば、自民党国会議員は、劣勢の麻生太郎氏支持に「雪崩をうった」と表現してもおかしくありません。この現象は、小選挙区の導入以来、引き続き派閥の力が落ちていることを示しています。
都道府県連票をみると、党員投票を行ったのは35都道府県連のみです。そして、麻生太郎氏が25万3692票(得票率50.3%)、一方、福田康夫氏は25万0613票(49.7%)で、麻生太郎氏が福田康夫氏を逆転しています。
しかし、2000年の米国大統領選と同じく、投票制度の関係で、勝敗は福田氏18勝、麻生氏17勝。実際の党員数とは関係なく、各県連にそれぞれ3票が割り振られたこともあり、実際の獲得地方票は、福田氏54票、麻生氏51票となりました。
自民党員の選択が、国会議員の意向とはまたも無関係になったということは大事な点です。安倍政権発足時とは異なりますが、当選までには至りませんでしたが、小泉政権発足時と同じ構図です。都市での得票が多く、そしてこれだけ連日劣勢を伝えられながら麻生太郎氏に投じられた票が多かったことは、これからの政局ではやはり麻生太郎氏の動きが台風の目になるということを意味しているのでしょうか。それ以上に、この党員と議員の意見の乖離が今後の自民党にどのような影響を与えるのか。
福田康夫氏は、麻生派以外の全派閥に支持を得てもこの得票ということですから、8派閥からのコントロールは大変にきつくなることでしょう。小泉純一郎氏が国民的な人気を博したのも、マスコミを上手に利用したこととあいまって、派閥からの締め付けが効かなかったことが原因です。となれば、外に麻生太郎氏、内に8派閥を抱える福田康夫氏の政権運営は、こと国民の人気という観点からは極めて厳しいものになります。
このように今回の自民党総裁選の結果は大変に興味深いものとなりました。これから福田康夫政権は、民主党に対してテロ特措法などへの対応を逆手にとって攻勢をかけてきます。民主党からは、まさにこの機会に対中、北朝鮮外交を逆のテコに使うべきだと思いますが、党内情勢が許すでしょうか。いずれにせよ日米安保以来はじめて外交安全保障問題が政局の中心となります。これがどのような結果になるか。
また、これからの選挙戦は、このところの2回の国政選挙から判断するとイメージ戦略が必須となりますが、今後、自民党は、福田康夫氏を先頭に立ててのイメージ戦略をどのように駆使すればいいのか。
外交安全保障とイメージ戦略という二つの論点は、性質がまったく異なりますが、どちらも日本の将来を決める重要なものです。注目していきたいと思います。
自民党総裁選開票結果 得票率福田康夫氏 合計330票(得票率62.6%) 議員票254票 地方票76票
麻生太郎氏 合計197票(得票率37.4%) 議員票132票 地方票65票
無効議員票1
議員票387票、都道府県連票141 合計528票(過半数265票)






