ある人から、現在、世間一般に「金融に関する病理」といわれているものを経済にまったくの素人を対象に列挙してほしいと頼まれましたので、ざっと書いてみました。整理がきちんとされたものではなく、網羅的でもなく、さらに、これらの議論の中には、説得力のあるものも、ないものもありますが、あくまでも世間での意見ということでご参考までに。
・ 「マネーゲーム」:企業経営は組織を代表して経営者が責任を持って行っていたが、近年、金融の自由化などを経て、株主主権的発想が強まりシナジー効果を得て生産性を向上させるためなどと称して、企業買収(M&A)の対象となるようになった。 しかし、その過程で過剰な解雇など人的資本の浪費が行われたり、あるいは、買収自体が生産性の向上には結びつかず、単なるマネーゲームで終わったりすることが多いこと。また、法的な整備が追いついていないことにつけこんでしばしば脱法的な利潤追求が行われること。・ 「労働意欲の減退」:金融派生商品(デリバティブ)を投資の対象とするヘッジファンドが行っているような実需に基づかない金融取引が行われ、その結果きわめて短期間に巨額の利潤が上げられるようになったこと。
その結果、製造業、商業などの在来型の産業部門の労働者がともすれば疎外感を感じ、労働意欲を失ってしまいかねないこと。・ 「多重債務」:インターネットなどの普及によりノンバンク金融機関などから、きわめて短時間にかつ容易に借金ができるようになり、本来借り入れる必要のないお金を借金してしまい、自己破産などに追い込まれてしまうこと。
・ 「過剰融資や貸し渋り」:企業に対して金融機関から上記と同様な過剰融資が行われたことがバブル期の不良債権の原因となったこと。また、金融機関も、自己資本比率規制の下でいわゆる貸し渋りを行い、特に資本力の弱い中小企業を中心に倒産が増加したこと。
・ 「金融システム関連企業の再建」:金融システムの安定化の美名の下、一部大企業や銀行に対して公的資金が注入されたが、その判断基準が不明確なこと。例えば、同じ百貨店業界でもA社には注入され、B社には注入されない基準はなんだったのか不明確であったこと。また、銀行や大企業なら救済されて中小企業は救済されないことが不公平であると考えが生まれたこと。さらに国民の税金である公的資金が注入されて再建された銀行が外資ファンド(いわゆるハゲタカファンド)にただ同然の価格で買収され、転売されてファンドに大きな利益をもたらしたこと。
・ 「通貨危機」:1997年にタイ、インドネシアなどを中心として発生したアジア通貨危機にみられるように、投機的資金がその国から急激に離脱することによって、その国の経済を破滅状態に陥らせたこと。
・ 「市場原理主義」:上記の通貨危機などの結果として苦境に陥った国々に対して、これまでの歴史的条件を無視して市場メカニズムを過信した政策パッケージを持ってIMF、世界銀行が救済措置を行うとして、介入を行い、結果的に本来なら救済されるべきそれらの国々の経済状態をさらに悪くしてしまったこと。
・ 「世界経済の格差拡大」:上記2項目の危機が発展途上国を襲っている一方で、まさにその危機を利用して、先進国からの出資が中心となっている金融界が多額の収益を上げたこと。






