北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記が、日朝平壌宣言で拉致を認めてから、この9月17日で五年が経ちました。その後、北朝鮮政府は、自国がよりよいポジションをとれるよう、外交交渉手段の一環として、5名の拉致被害者を日本に帰国させるなどしてきました。
しかし、その後は、幸いにして拉致被害者の家族の帰国も実現したものの、相も変わらず不誠実な態度をとり続けて、拉致問題は解決に至らず、膠着状態に陥っています。その背景には、まず第一に、そもそも我が国政府が本気で北朝鮮に対して圧力をかけて対峙していないことがあげられます。
かつて増元照明さんは、志摩市での講演会でこういいました。
《政府は、昭和63年に国会答弁で拉致問題の存在を認めておきながら、それから10年間北朝鮮にはまったく働きかけていなかった。おそらく北朝鮮に関わる利権の存在が大きいのだろう。政府も与野党の国会議員もおかしい。拉致被害者の30年にもわたる苦しみは、今の日本がよくなるための犠牲だと解釈している。》私も、この国の拉致問題に対する反応の鈍さは異常だと思います。人ごとだとでも思っているのでしょうか。
(増元照明さん講演会の詳細について (金子洋一「エコノミスト・ブログ」))
例えば、外務省は、「過去の清算」などという北朝鮮の戦術にやすやすと乗ってしまったことは以前このブログで書きました。一体なにを考えているのでしょう。(北朝鮮大使が日本の姿勢「評価」、日朝作業部会での協議で『過去の清算』?をご覧ください。)
また、米国ブッシュ政権が、イラクでの戦況悪化などが原因となって、北朝鮮に対して宥和的な態度をとっていることも問題です。コンドリーザ・ライス米国務長官は、
《「北朝鮮による日本人拉致問題の解決は、北朝鮮へのテロ支援国家指定を解除するために必要な条件になっていない」、「米国内法に照らせば、テロ支援国家指定は、基本的には米国に対するテロを念頭に置いたものだ」》と発言しています。自国の国益を優先する発言は米国の閣僚としては当然ではありますが、我が国にとっては残念な発言です。
(ライス国務長官「拉致解決は条件でない」 (金子洋一「エコノミスト・ブログ」))
《拉致被害者の家族らが東京・渋谷のハチ公前広場で、街頭アピールを行い、「5年前に小泉前首相が訪朝した時の悲しみと怒りを思い出して」と、早期の問題解決と支援を訴えた。》昨日9月17日もまた、拉致被害者とその家族の皆さんは、懸命に世論に訴える活動をしていらっしゃいます。この問題は与党も外務省も頼りになりません。世論が政府にきちんと動くように圧力をかけるしか道はありません。
(時事ドットコム:拉致解決訴え街頭アピール=小泉前首相訪朝から5年-東京)
このように書いてきますと、自分が政治的な影響力を持たない身であることが本当に残念でなりません。なんとしても、この問題は解決しなければなりません。





