私のように、過去に選挙に自分でも立候補し、また民主党党員だと「カミングアウト」しているものには少し驚きでしたが、今回、いろいろ歩いてみて選挙とは関係のない人(=世間の一般の善良な市民)にとっては、今度の参議院選挙では、分かるのは所属政党くらいで、どの候補がどういうことを考えていて、政策はどのような特色があるのかということは、「まったくわからない」そうなのです。
これはつまり、与党にせよ野党にせよ、まっとうな暮らしをしている人々には政党からの訴えの声がまったく届いていないということです。
現在の公職選挙法には、条文の中に「インターネット」という文言が入っていません。これはずいぶん昔に法律が作られたのですから仕方がありませんが、国会でもインターネットを条件付ではあっても選挙期間中に利用できるように民主党などから公職選挙法の改正が提案されてきましたが、与党の反対で結局成立していません。今回の参議院選挙の前にも、やるやるといっていたものの、国会の会期延長があっても結局はだめでした。与党の反対の理由を勘ぐれば、テレビの利用は実際の政権を握っている与党の方が、絵になる素材を出しやすいので有利だから、与野党ともに平等に利用ができるインターネットを解禁するまでもないという判断もあるのではないかと思います。以前に、インターネット選挙の解禁が近いと書きましたが、実際にはまだまだのようです。
次回の国政選挙がいつあるのかはわかりませんが、インターネットの普及は進む一方でしょう。となれば、このインターネットをきちんと利用して選挙管理委員会などの管理の下での「公営インターネット選挙」を推進してはどうでしょうか。
これは、簡単に言えば、今、道ばたに立てられている候補者ポスターの公営掲示板や、新聞の折り込みなどとして配られる選挙公報、あるいは昔はあった候補者立ち会い演説会のインターネット版です。
既に米国やフランスでは大統領選挙にインターネットが利用されていることは以前に書いたとおりです。我が国でインターネットを選挙に利用することに反対する根拠は、インターネットが使えない人にとっては不公平だとか、特定の候補者の陣営だと偽って偽の情報を流すなりすましが行われやすいということが言われていました。しかし今後は、急速に普及は進むでしょうし、なりすましの問題なら、各候補者にパスワードをきちんと渡したサーバーとURLのみを利用して公示後は活動することを義務づければよいだけです。
各選挙区ごとに同一のサーバー内の一定の容量を利用させ、その中では、選挙期間中の更新はもちろん、動画の配信、掲示板の利用等を可能とします。メールの利用についてはスパムになる可能性もあるので禁止すべきでしょうか。内容については、最低限候補者名、選挙区の記述は各ページに義務づけるものの、それ以外については自由にします。記述内容については、現在の公職選挙法と同等の規制が適用され、例えば誹謗中傷等は御法度にします。
同一のサーバー内に各候補者のコンテンツをおいておけば、Dos攻撃などはおそらく引き起こさないでしょう。まあ、このあたりの具体的な手法については専門家に設計をしていただければいいと思います。
形式については各候補者の自由にすれば、米国の大統領選挙ではよく見ることですが、その候補者を支持する有名人の応援メッセージなども載せればいいでしょうし、いろいろな手段で見ていて楽しい内容が作れ、無党派層や若者の関心を引く内容を作ることができます。そうすれば、今のように候補者として、無理矢理愚にもつかないタレントを並べたりすることなどは避けられるでしょう。
また、うまくすれば有権者と候補者(陣営)での政策についての質疑応答のキャッチボールも可能になってくれるかもしれません。
諸外国では、戸別訪問は法律で禁止されていませんが、我が国でそのまま解禁をすれば特定の団体・組織に支持されている候補が有利になってしまいます。ところがこの「公営インターネット選挙」なら、コンテンツをあらかじめ作るだけですから、戸別訪問に比べれば弱小政党にも有利になります。選挙違反の温床にもなり得ません。各政党本部である程度のフォーマットを作っておけば、候補者個人の負担もかなり小さくなるでしょう。候補者によっては、昔の私の時の選挙のように作っても人手がないので配る当てのないチラシを刷るよりも、インターネットに資金を傾斜配分するところも出てくるでしょう。それは各陣営に任せればいいことでしょう。
現在は、選挙期間中の宣伝カーのレンタル費用、運転手の賃金、ポスターの印刷費用などは公費負担ですが、立候補に必要な供託金の金額を引き上げる(例えば衆議院議員選挙は300万円ですが、これを千万円程度にする)一方で、コンテンツ制作の内、一定程度の金額を公費負担の対象とすれば、「泡沫ではないがお金のない候補者」にも不公平にはならないと思います。
分野は異なってきますが、もっとインターネットの利用が国民の間でも成熟し、また本人認証の問題がクリアされれば、投票もインターネット上でできるようにしたりとか、インターネットの解禁はいろいろな応用が利きます。現在のように役所の職員が動員されて、数億円の費用をかけるよりはずっと自治体のお財布にも優しいでしょう。
このようにインターネットで公営選挙を行うにしても、つまるところは一方的に流れてくる情報をいかに選別し、解釈するのかという有権者側の情報リテラシーは、ワイドショー選挙に流されないように注意するのと同じくらい、あるいはより一層必要となるわけで、この問題についても十分考える必要がこれから出てくることでしょう。





