4月の三重県内のハローワークの統計に基づく三重県の有効求人倍率は、全体で1.38倍となりました。これは、全国平均の有効求人倍率1.05倍と比較してもかなりよく、都道府県の中でも7位と上位です。
これは好調を続ける主に北勢の製造業や中勢のシャープを中心とした液晶関連事業による求人が活発であることが原因です。
有効求人倍率は1.0倍という数字が景気の判断の分かれ目のように考えている方も多いようですが、それは単純な誤解で、過去の日本経済の経験から見れば有効求人倍率が1倍というのは労働需給としてはずいぶんタイトな状態、つまり人手不足に近い状態です。ですから、この三重労働局が発表した4月の有効求人倍率1.38倍という数字はずいぶんと景気がよい状態を示しています。
しかし、データをもう少し細かく見てみますと違った様相を示してきます。
第一に、正社員の有効求人倍率は低く、数字はパートタイムでずいぶんとかさ上げされていることです。
正社員などの常用雇用の三重県の有効求人倍率は0.74倍でした。パートタイム社員の数は、バブル期のおそらく3倍以上となり、以前なら正社員がしていた内容の仕事も、今はパートタイム社員が行っているものが増えてきています。このことは、新たな経営手法の取り入れによって可能になったことで、企業から見れば人件費の削減につながりますが、働く側から見ると働く内容も以前と同じなのに給料はパートタイマーとしての低い給料だということです。しかも、身分は不安定なままです。
これは難しい問題で、経済企画庁OBで内閣府経済財政諮問会議メンバーでもある国際基督教大学教授の八代尚宏先生のような方は「正社員の待遇もパートタイマーなみに下げろ」と主張しておられます。ここで細かくは議論しませんが、日本の労働慣行がアングロサクソン型にならなければ八代尚宏先生の主張通りの政策はとりようがないということだけは指摘しておきたいと思います。そして、世界各国の経済モデルの中ではなにもアングロサクソン型だけが合理的だというわけではないと思います。
第二に、三重県の北部の有効求人倍率は高くても、南部は低くて厳しいということです。
これは、おなじみの三重県の南北格差の問題で、今回の4月の有効求人倍率のデータに基づきますと、
四日市 1.63
桑名 1.54
津 1.43
[三重県 1.38]
松阪 1.24
伊賀 1.16
鈴鹿 1.14
伊勢 1.04
尾鷲 0.89
熊野 0.48
となります。鈴鹿がちょっと低いことを除けば北から南に並んでいることがおわかりいただけると思います。最下位の熊野は、全国最下位の沖縄県の0.43をわずかに上回るレベルです。
第三に、全国の有効求人倍率は、いまのところ昨年の7月の1.09が今回の景気のピークで、4月の有効求人倍率は1.05倍です。景気動向指数にも現れているように、既に日本全体の景気は下向き加減、よくて横ばいになってしまっているということです。三重県の景気も日本全体の景気と同じ方向に進んでいくでしょう。
地方の経済をたとえるのによく「ジャンボジェットの後輪」という表現が使われます。地方経済は、日本経済という飛行機が離陸する時(つまり景気が上昇する時)には最後に地面を離れ、逆に飛行機がつまり着陸する時(つまり景気が下降する時)は最初に接地するからです。今回の景気についても、この三重県の南部、特に熊野市、尾鷲市を筆頭とする地域については離陸もしていないと言えそうです。






