先のエントリーで、塩谷龍生三重県議会議員の選挙違反での逮捕についてお知らせしました。私はなぜ今回の塩谷龍生容疑者の選挙違反に県警がいち早く反応したのか、大変不思議に思っていましたが、塩谷龍生容疑者は、実は選挙違反で逮捕されたのは今回が初めてではなかったのです。
平成3(1991)年4月の三重県議会議員選挙(北牟婁郡選挙区)の時、現職議員の引退後の議席を争う選挙戦で、当選した自民党陣営から5名の逮捕者が出ました。当時既に塩谷組の社長だった塩谷龍生容疑者は、木箱に入った牛肉(五千円相当)を有権者に配り、そのうちの一人として公職選挙法違反(買収)で逮捕されておりました。立件された以外にも自社製品の鰹ハンバーグを配ったりと、とかくの噂があったそうです。
余談
塩谷龍生容疑者と一緒に逮捕された4名の中に当時49歳の「松村秀甫」という名前があります。「松村秀甫」さんという名前はあまりお見かけしないように思えますが、海山町ではありふれた名前のようで、塩谷龍生容疑者が町長であった時期の「海山町行財政対策審議会」の会長にも「松村秀甫」さんとおっしゃる方がおみえでした。また、現職の某衆議院議員の地元事務所の秘書さんにも、昭和16年12月15日生と年齢まで同じ「松村秀甫」さんという方が平成16(2004)年からみえまして、私もお見かけしたことがあります。ちなみに、私の「金子洋一」という名前も結構ありふれた名前でして、津市に「金子洋一」というお名前の社長さんがみえます。
今から16年も前で、しかも田舎の選挙でしたからこのくらいのことはいくらでもあったのでしょう。まあ、目くじら立てるほどのことはないのかもしれません。というのも、自民党全盛期の昔は、今とは法律を守ろうという考え方が違っていて、例えば、選挙事務所では炊き出しをしていて、食事時になるとどこからともなく人が集まってきて食べて飲んで帰っていくという光景は見慣れたものだったなどということがあったそうです。中には、どこの選挙事務所の食事が一番おいしいかを声高に話題にしたりなどといったこともあったようです。なかなかおかしげな光景です。私の選挙区内では今でもそういうことを平然とやる陣営はたくさんあると噂されています。また、もう落選されましたが選挙のたびにブリを配ってくれるという、「サンタクロースのような」町長さんもいたそうです。ちなみに公職選挙法で事務所への訪問客に出すことが許されているのは「茶菓」までです。
しかし、当時と今では選挙違反に対する世間の目が違ってきています。違法は違法であると、きちんとノーをいう人々がこの三重5区内でようやく増えてきました。当時の感覚で今回もやってしまったのでは警察のお目こぼしもなかったようです。
塩谷龍生容疑者とは何回か私も言葉を交わしたことがあります。一回目は、最初の選挙の前にご挨拶に伺ったときでした。町長室に招き入れてくれ、合併の問題についてお話ししていただいた記憶があります。その時にも決して無礼な感じはなく、常識のある方のように見受けられました。なにせ、他の首長さんの中には、町長室の中にも入れてくれずに、ドアの前の立ち話でほとんど門前払いのような方もお見えでしたので、それに比べればはるかに紳士的な対応でした。その後も、平成16(2004)年に海山町をおそった豪雨水害の際、一番被害が大きかった相賀地区に入ってから海山町役場にお見舞いに伺った時にもきちんとした対応をしていただきました。
旧・海山町の町政を壟断していたという評価もありますが、土建会社の実質的なオーナーとしてさまざまな政治的しがらみもあったのでしょうか。町長としての経験を活かして、県南部の発展のために働いていただければ一番よかったのですが。
以前のエントリーの中で、つい先日桜井義之さんが三重県議会議員の副議長に立候補したときのことを書きました。桜井義之県議は、「国や政党の呪縛の中で、地方自治を育てられなかったことは地方議会の大罪ではないか」、「かつての地方議会は、知事や市町村長が国から運んでくる予算を地域に配ることに多くのエネルギーを費やしてきた」と発言の中で問題提起をしたわけです。これに対して、塩谷龍生容疑者は「今までの議員や議会を冒涜(ぼうとく)している」と批判しました。
当時既に三重県警が共謀した奥地敬子容疑者を逮捕して取り調べていたわけです。その中でのこの発言。同情したい気持ちもありますが、「議員や議会を冒涜」という言葉は、彼に投票した9,002名の北牟婁郡と尾鷲市の有権者の皆さんの立場に立てば、残念ですがそのままお返ししなければならないと思います。






