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2006年05月30日

貸金業の上限金利引き下げに疑問あり

 ひところは「ノンバンク」と言われた、消費者金融、クレジットカードローンや商工ローンなどの貸金業によって、お金が貸し出される際の法定の上限金利を出資法が定める29.2%から、利息制限法が定める15%へと引き下げる動きが活発です。

 借金の利息が下がるのならいいではないかと思われるのではないでしょうか。しかし、借金の利息は貸し倒れのリスクに応じて決まるものです。優良な会社に対しては低く、そうでない会社に対しては高くなります。

 こういう例を考えてみてください。あなたが零細企業の社長だとします。最近はあまり経営もうまくいっていないので銀行はお金を貸してくれません。さて、取引先が振り出した手形の割引の期日が1週間先なのですが、資金調達の都合で、どうしても1週間だけつなぎの運転資金が必要になりました。その場合、年利29.2%でもいいからぜひお金を借りたいというケースはたくさんあると思います。これが、上限金利が利息制限法が認める15%に引き下げられた場合、どうなるでしょうか?経営状態のさほど思わしくない会社の場合に対しては、29.2%ならいいが、15%では貸し手がまったくいなくなることが出てきます。あなたの会社がその会社だったら、万事休すです。

 つまり、上限金利を国が無理矢理引き下げたため借金ができない会社や個人が出てきてしまうのです。国の定める最低賃金が高すぎれば、働きたくても働けない人が出てくるのとちょうど同じ理屈です。

 私も、国家公務員として、あるいはOECDの職員として消費者行政に携わっておりましたので、特に普通の消費者にとって、現在の年利29.2%という上限金利が高いものであることはよく判っています。しかし、問題は29.2%という金利自体ではなく、根保証契約を十分に説明せず行ったりするという契約のやり方、あるいは暴力的な取り立てのやり方ではないでしょうか?

 年利29.2%というと非常に高い金利ではありますが、この例の1週間なら利息は、借入額の0.5%程度ですみます。15%への上限金利の引き下げは果たして手放しで喜べることなのか、私には大いに疑問です。

 さらにこの問題で、与謝野金融担当大臣は、

『消費者金融の高金利については法整備を進めていきますが、メガバンクと消費者金融が(業務・資本提携して)一心同体になってしまっている現状は、私個人としては驚きです。銀行の仕事は利益追求だけではないはずです。社会にしっかり目を向け、お金をどう振り分けるか。それが銀行の本来の仕事のはず。社会的意義のあることをやるのが、銀行の使命でしょう』
と発言し、

また、後藤田政務官(女優の水野真紀さんのダンナさんですね)も、

『メガバンクは、経営危機を6兆円にものぼる国民の税金による公的資金を投入してもらって救われた、税金を使わせてもらったことを真剣に考えれば高利な事業はできないはずだ』
(以上、ブログ「法務のくにのろじゃあ」
から引用)
と発言しています。

 一般受けする発言でしょうが、個人的には本質を見失った発言だとしか思えません。私の地元にも、市民運動の資金の調達に、一時的ではありますが消費者金融からの借り入れを当てている方がおみえです。市民活動の資金に使うといったらまともな金利ではお金は貸してもらえません。貧乏な市民は政治活動ができなくなりますし、銀行が相手にしてくれない零細企業は経営を続けることができなくなります。上限金利を国が引き下げるということは、このような可能性が出てくるのだということを忘れてはならないと思います。


 

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